腎臓は3つの機序により不揮発性酸を排泄しています。
1.「糸球体からろ過される不揮発性酸」
代謝産物である乳酸、ケトン体、リン酸、硫酸などが「糸球体からろ過される不揮発性酸」です。糸球体でろ過され、ボーマン嚢における濃度は血漿における濃度と同一です。(図の赤い四葉のクローバみたいな形が「糸球体からろ過される不揮発性酸」である。)それぞれの酸性物質はすべての水素原子「H」を解離しているわけではなく、ある程度結合させています。解離、イオン化して血漿中にあるH+も糸球体からろ過されるが、次に述べる理由により「糸球体からろ過される不揮発性酸」に含まれません。血漿緩衝系であるHCO3-もろ過されます。
2.「尿細管から分泌される不揮発性酸」その1:HCO3-の再吸収によるH+の排泄
腎臓におけるHCO3-の動きは、Na+や、水分と似ています。すなわち、大量にろ過され、その99%以上を再吸収しています。尿細管腔からHCO3-が再吸収されると、尿細管腔内で重炭酸緩衝系は、
H+ + HCO3- ← H2CO3
の方向に化学反応が進行し、H+が生成します。結果的には、尿細管からH+が分泌されたのと同等です。図では、尿細管の働きによりHCO3-が減少し、H+が増大していることに注目!
3.「尿細管から分泌される不揮発性酸」その2:水素イオンの分泌
酸の実体である水素イオン(H+)は「尿細管から分泌される酸性物質」です。糸球体からろ過されもするが、微量である。
水素イオン(H+)は遠位尿細管から分泌されています。図では、尿細管の働きによりH+がさらに増大していることに注目!
代謝産物を含む溶液、血漿、糸球体、尿細管までの流れを1つに集めた図です。
別の形でまとめてみよう。
水素イオン(H+)ポンプで分泌されています。このポンプはNa+を再吸収し、交換にH+とK+とを分泌します。また、ポンプの回転数はアルドステロンというホルモンの血中濃度に依存しています。「ホルモン:はじめの一歩」/第2章(下垂体があまり関与しないホルモン)/電解質コルチコイド(アルドステロン)参照.「腎臓:はじめの一歩」/第3章(腎臓の機能,その2;調節)/2(血漿量,血圧の調節)に後述。