養護教諭/バイタルサイン/脈拍
【脈拍とは】
脈拍とは、心臓の周期的な収縮により血液が動脈に駆出される際に、体表面に伝わる血液の波動を触知するものです。
よって、原則的に心拍数と脈拍数は同数になるはずですが、血栓などが血管に詰まったり、不整脈が生じたりすると同数にはなりません。
【脈拍測定で知ることができること】
・心臓の機能
末梢で脈を触れることができるのは、心臓の機能(心臓の電気刺激や心臓の拡張・収縮)が正常に働いているということです。
心臓の電気刺激に異常があると、たとえ心臓が収縮していて心拍数がカウントされても、脈拍は触知されない場合があります。
・不整脈の有無
脈が一つ抜けたように感じる「結滞」や、リズムの異常は、心臓の電気刺激に異常がある可能性があります。
その場合、全身に流れる血液が十分でなく、その状況が続けば意識レベルが低下します。
【脈拍で観察すること】
①脈拍数
②リズム(不整脈の有無)
③緊張度(脈拍を感じる強さ)
【アセスメント項目】
★1発作性上室性頻拍
頻脈発作で最も多く、心拍数150~250回/分ほどの頻拍。
原因は、WPW症候群のことが多い。
通常、心拍出量や血圧が保たれるため、まずは迷走神経刺激手技を施行する。方法は、子どもであれば息こらえが簡便。他の方法としては、氷水の洗面器に顔をつけるなどがある(顔面冷水刺激)。治まらない場合には、医療機関を受診する。
★2心室性頻拍
特発性のものが多いが、心筋炎、心筋症や心臓術後などにも認める。
心拍出量や血圧が保たれない場合には、電気ショックが必要となる。
★3徐脈性不整脈
徐脈に加え、めまい、失神、理解力・記憶力の低下がみられた場合には、適切な治療が必要となる。
★4洞性不整脈
失神・けいれんなどの症状を伴う場合には、心停止による突然死のリスクがあるので注意する。
★5心房細動
心房細動では、心房が350~600回/分と細かく速く震える様に動き、心房の収縮と拡張ができなくなる不整脈である。
◆◆発展知識◆◆
心室細動は心房細動とは異なり、脈拍は触知できません。
しかし、心臓の電気刺激は残っているので(心停止状態)、AEDを使用することによって、蘇生が可能な状態です。
治療しないといずれ、心静止状態(心臓の電気刺激がなくなった状態)になり、死亡します。
【脈拍と血圧の関係】
脈拍は、心臓から離れた動脈になればなるほど弱くなります。
このため、血圧が低下すると、心臓から離れた動脈では、脈拍を触知できなくなる場合があります。
このことを利用して、血圧を推定することができます。
【脈拍の測定方法】
脈拍は体表近くを走行する動脈で触知できます。
衣服に覆われておらず、容易に触知することができることから、脈拍測定には撓骨動脈を用いることが一般的です。
その他の重要度の高い動脈についても、部位と測定方法を確認しましょう。
【動画】脈拍の測定位置の確認↑【動画】脈拍の測定位置の確認
【動画】撓骨動脈の測定方法↑【動画】撓骨動脈の測定方法
【動画】頸動脈の測定方法↑【動画】頸動脈の測定方法
Challenge Quiz
小学生において、安静時の脈拍数が120回/分以上の場合、頻脈という。 ○ ✕
撓骨動脈が触知できない場合、収縮期血圧は約80mmHg以下の可能性がある。 ○ ✕
撓骨動脈の測定では、次のどの方法が正しいか。 1 2 3 4