内分泌系/第4章:下垂体前葉ホルモン、その1/糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)/クッシング症候群/分泌亢進の機序
Cushing症候群の原因には大きく2つ考えられる.
1.下垂体などにACTH生産性腫瘍が発生した場合:ACTHの分泌、血中濃度の亢進、上昇のため、糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)の分泌が亢進し、Cushing症候群がもたらされる。ACTHと糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)との血中濃度が高いことで、視床下部からのCRH分泌、血中濃度は低下する。しかし、第1章/ホルモン生産性(ホルモン産生)腫瘍/法則2にあるとおり、ACTH産生腫瘍はCRHの血中濃度に依存せずに、ACTHを大量に分泌しつづける。また、糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)の血中濃度が高くなっても、「法則3」のとおり、負のフィードバックによって分泌は抑制されない。この機序によるCushing症候群はさらに、二つに細分される。ACTHの異常分泌が下垂体からである場合(Cushing病)、ならびに肺がんなど、他の組織である場合(異所性ACTH分泌症候群)とである。
2.副腎皮質に糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)生産性(ホルモン産生)腫瘍(腺腫)が発生した場合:糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)の血中濃度が高くなるため、下垂体は負のフィードバックを受け、ACTHの分泌、血中濃度は低下する。ただし、糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)生産性(ホルモン産生)腫瘍はACTHの血中濃度に依存しない(「法則2」)ため、ACTHの血中濃度が低下しても糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)の分泌は亢進したままである。また、負のフィードバックにより、ACTHの血中濃度低下はCRH分泌を促進し、糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)の血中濃度上昇は、CRH分泌を抑制する。この二つのフィードバックのうち、糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)の血中濃度の方が強い(第1章/下垂体前葉系、その1/ステップ7)ため、CRHの分泌、血中濃度は低下する。この機序でもCushing症候群は発症する。
Challenge Quiz
Cushing病では 下垂体にACTH生産性(産生)腫瘍 肺など下垂体、副腎系と無関係の箇所に発生したACTH生産性(産生)腫瘍 副腎皮質に糖質コルチコイド生産性(産生)腫瘍 がある。
異所性ACTH症候群では 下垂体にACTH生産性(産生)腫瘍 肺など下垂体、副腎系と無関係の箇所に発生したACTH生産性(産生)腫瘍 副腎皮質に糖質コルチコイド生産性(産生)腫瘍 がある。
副腎皮質腺腫では 下垂体にACTH生産性(産生)腫瘍 肺など下垂体、副腎系と無関係の箇所に発生したACTH生産性(産生)腫瘍 副腎皮質に糖質コルチコイド生産性(産生)腫瘍 がある。
クッシング症候群の症状に加えて、耳側半盲などの視野狭窄がみとめられた場合、 副腎に原発した副腎皮質ホルモン生産性腫瘍 下垂体に原発した副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)生産性腫瘍 が考えられる。
クッシング病では、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌と血中濃度は 亢進 低下 している。
異所性ACTH症候群では、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌と血中濃度は 亢進 低下 している。
副腎皮質腺腫では、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌と血中濃度は 亢進 低下 している。