内分泌系/第4章:下垂体前葉ホルモン、その1/糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)/クッシング症候群/メチラポン/正常人
副腎皮質刺激ホルモンの分泌と血中濃度とに依存して、副腎皮質では、副腎皮質ホルモン(cortisol)が生成される。この過程における最終の化学反応では、11-deoxycortisolに対して11-βhydroxylaseが作用してcortisolが生成される。
cortisolは分泌され、血中濃度があがる。cortisolの代謝産物は17-OHCSである。11-deoxycortisolも代謝されると17-OHCSになる。
メチラポンは11-βhydroxylaseの阻害薬である。そのため、副腎皮質ホルモンcortisolの生成、分泌、血中濃度が低下する。これは、負のフィードバックのために、下垂体前葉からのACTH分泌、血中濃度を亢進、上昇させる。このため、副腎皮質は刺激され、11-βhydroxylaseが阻害されているため、11-deoxycortisolが蓄積する。11-deoxycortisolも代謝産物は17-OHCSであるため、尿中の17-OHCS排泄は、メチラポン投与前より増大する。「メチラポンによる尿中17-OHCS排泄の増大」が正常反応である。
ここで大切なことは「メチラポンによる尿中17-OHCS排泄の増大」は11-βhydroxylaseが阻害され、11-deoxycortisolが蓄積したためではない、ということである。「メチラポンによる尿中17-OHCS排泄の増大」はACTHの分泌が亢進し、副腎皮質が強く刺激されたためである。くり返しであるが、メチラポン試験は、ACTH分泌反応試験である。メチラポン投与後に、投与前と比べて、ACTHの分泌亢進、副腎皮質の刺激がなければ、メチラポンの投与後に蓄積する11-deoxycortisolは、メチラポン投与前に生成されるcortisolと同量である。ACTHの分泌亢進がなければ、「メチラポンによる尿中17-OHCS排泄の増大」はない。
Challenge Quiz
正常人では、尿中17-OHCS排泄の量は 正常人と同レベルである 低下している 増大している 。
正常人では、メチラポン試験により、尿中への17-OHCS排泄は 不変である 抑制される 増大する 。これを直接的にもたらしたのは 11- hydroxylase阻害により基質11-deoxycortisolが増大した 11- hydroxylase阻害により副腎皮質ホルモンcortisolが低下し、負のフィードバックがACTHの分泌、血中濃度を亢進、上昇した ことである。