養護教諭/腹部/問診①:現病歴

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【アセスメント項目】

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★1卵巣嚢腫茎捻転
卵巣は、最も腫瘍が生じやすい臓器であるが、その9割は良性であり、初期では自覚症状が乏しく内容物がたまって卵巣が肥大して初めて気づくケースが多い。
卵巣から分泌される液体や子宮内膜症が卵巣内にできて血液がたまったり、歯や毛髪など胚細胞にできるものが嚢腫になったりする。
茎捻転は卵巣嚢腫がなくても発生することもあるが、多くは卵巣が肥大することで子宮とつながっている靭帯がねじれて起こる。
婦人科の救急疾患の一つ。
★2精巣捻転
自然発生的または外傷後に精巣が回転し絞扼が起きる結果、血液供給が遮断される。
捻転は12~18歳の間で最も頻発し、症状は陰嚢の急性疼痛および腫脹と悪心および嘔吐である。
精巣の救済率は、6~8時間後の80~100%から12時間後はほぼ0%に低下するため緊急を要する病態である。
男子は恥ずかしいと感じ腹痛としか訴えないことが多い。
★3血管性紫斑病
学童期に好発する。
紫斑、腹部症状、関節症状が3大徴候で、70~80%に腹部症状があり、激しい腹痛を伴う。
明らかな原因は不明で、溶連菌やマイコプラズマなどの感染症、薬剤や食物摂取などを引き金として、免疫反応の異常が起こることが原因とされている。
★4異所性妊娠(子宮外妊娠)
→2009年3月に日本産婦人学会で名称変更。
受精卵が子宮内腔以外の場所に着床して起こる妊娠のことで全妊娠の1.5~2%に発生する。
初期は無症状(妊娠が成立するため無月経となるが、月経不順の女性では判断が難しい)。
多くの場合、不正出血と下腹部痛がある。
進行すると腹腔内で大量出血が発生し、最悪の場合には出血性ショックで死亡する可能性がある(卵管への着床であれば8~12週頃に卵管が破裂する)。
女性(女児も含む)が腹痛や不正出血を訴える場合には、まず一番に疑う必要があり、医療施設では、月経時であっても強い痛みを訴える場合は急性腹症(卵巣茎捻転、尿管結石、虫垂炎)などとの鑑別が行われる。
★5血便
下部消化管や肛門の出血により、新鮮血が付着・混入している便、またはそのまま新鮮血が排出されること。
★6下血
上部消化管からの出血により、黒色・タール様の便が排出されること。
★7吐血
胃(消化管)からの出血を嘔吐したもの。
胃酸にさらされる時間が長いほど、鮮血→黒褐色→コーヒー残渣様と色が変化する。
★8腹部の外傷
子ども(12歳頃まで)は成人に比べて横隔膜はほぼ水平で肋骨弓角が開いているため、成人では保護されている肝臓、脾臓が腹壁下に存在し、損傷しやすい。
また、子どもの腹壁は成人と比べて脆弱なため、外力が直接作用しやすい。


Challenge Quiz

1.

吐血とは、胃(消化管)からの出血のことを言う。

2.

精巣捻転は、外傷後に発生することもある。

3.

異所性妊娠(子宮外妊娠)は、女性(女児も含む)が腹痛や不正出血を訴える場合には、まず一番に疑う必要がある。