養護教諭/皮膚爪/視診①:皮膚の視診

提供:一歩一歩
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明るい場所(自然採光または明るい電灯の下:1,000lx以上)で観察しましょう。
日焼けしていない部分(腕の内側など)を基準の皮膚色としてみます。
①衣服などで隠れていない部分の状態を観察します。
②必要があれば、衣服に隠れている部分も観察します。
※発疹は腹部や上腕内側に見られやすい。
※蕁麻疹に加え、呼吸困難などを訴える場合には、アナフィラキシーショックを起こす可能性がある。

【アセスメント項目】

表-皮膚爪-視診1-皮膚のアセスメント事項.jpg



★1柑皮症(かんぴしょう)
柑橘類や人参など色の濃い野菜、果物の摂り過ぎで起こる現象。
手掌、足底の着色が強い。
黄疸と異なり、眼球結膜の黄染は見られない。
★2全身性エリテマトーデス(SLE)
自分の免疫システムが誤って自分の正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫性疾患の一つ。
この病気に特徴的に認められ、出現頻度も高い皮膚症状として、蝶形紅斑がある。
蝶形紅斑とは、顔に蝶のような形が出現する湿疹で、鼻筋を町の体に見立てると、ちょうど蝶が左右に羽を広げたような形のように湿疹を認める。
他には円形状紅斑、光線過敏症(強い紫外線を浴びた後で皮膚に発疹や水ぶくれが出てしまう)や脱毛が半数以上に認められる。
また、痛みを伴わない口内炎が生じることもある。
★3伝染性軟属腫(みずいぼ)
伝染性軟属腫ウイルス皮膚の小さな傷や毛穴から感染することによって、いぼができる疾患。
子どもに生じることが多く、プールなどで接触することにより感染する。
アトピー性皮膚炎である場合はより感染しやすいといわれている。
肌色からやや白色調で、大きさが2mm~10mm程度のドーム状の小結節が、体のさまざまな部位に生じる。
いぼの表面は光沢があり、中央に凹みが見えることもある。
また、軽いかゆみを感じることもある。
★4特発性血小板減少性紫斑病
血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気。
小児では、病気が起こってから6ヶ月以内に血小板数が正常に回復する急性型が約75~80%を占め、ウイルス感染や予防接種を先行事象として有する場合が多く認められる。
風邪などウイルス感染を契機に出血症状が増悪する場合があるため、皮膚に点状出血が増えていないか、口腔内に血腫ができていないかを観察し、出血症状が増悪する場合は主治医に連絡するようにする。
★5伝染性膿痂疹(とびひ)
おもに子どもにみられることの多い細菌皮膚感染症。
典型的な伝染性膿痂疹は皮膚が傷ついた部位から始まり、鼻(鼻いじりをする子どもに多い)や、腕(アトピー性皮膚炎をかきむしった痕に多い)などから症状が始まる。
膿疱と痂皮を伴う皮膚病変が見られるが、小さな切り傷やアトピー性皮膚炎等のかき傷から広がることが多い。
水疱が破れた痕には細菌が大量に存在するため、タオルや自分自身の手を介して、容易に別の部位に細菌がうつり、同様の皮膚症状を発症する。
★6悪性黒色腫(メラノーマ)
皮膚がんの1つ。
皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する皮膚の細胞で、表皮の基底層に分布しているメラノサイト、あるいは母斑細胞(ほくろの細胞)が悪性化した腫瘍。
早期の場合には、普通のほくろと悪性黒色腫を区別することは非常に難しいため、少しでもおかしいと思われるほくろがあった場合は、まず皮膚科専門医を受診することが、早期発見、早期治療につながる。
悪性黒色腫の早期症状としては、次のABCDEの5つの特徴があるといわれている。
 ・symmetry(非対称性):形が左右非対称
 ・order(輪郭がギザギザしている):皮膚とほくろの輪郭がギザギザして不整/色のにじみ出しがある
 ・olor(色むら):色調が均一でない/色むらがある
 ・iameter(大きさ):長径が6mm以上
 ・volving(変化がある):大きさが拡大する、色・形・症状が変化してくる

【紅斑と紫斑の見分け方(圧診)】
指先やプラスチックのものさしなどで皮膚を押すと、紅斑は色が消えますが、紫斑は色が消えません。

【虐待が疑われる場合の特徴】
 ・出血斑、打撲痕、刺し傷などが衣服に隠れる場所に見られる
 ・子どもの手が届かないような不自然な部位に変化がある
 ・色々な種類の傷が混ざっている
 ・新しい傷・古い傷が混ざっている
 ・不潔で臭いがある
 ・栄養状態が悪い など

【熱傷の重症度】
熱傷の受傷度は、深さ(深度)と広さ(面積)で決まります。
水で冷やしながら、熱傷の部位、皮膚の状態、範囲を確認しましょう。
 ・小児の場合は、Ⅱ度以上の熱傷面積が10%以上で重症化、30%以上で生命の危険があります。
 ・成人の場合は、Ⅱ度以上の熱傷面積が20%以上で重症化、40%以上で生命の危険があります。
※低温熱傷は、外見は軽症のように見えても、深い熱傷のことが多いため、必ず病院受診をする必要があります。
《熱傷深度》

表-皮膚爪-視診1-熱傷深度.jpg



《熱傷面積》
・小児の場合:5の法則

図-皮膚爪-視診1-5の法則小児の場合.jpg



・成人の場合:9の法則

図-皮膚爪-視診1-9の法則成人の場合.jpg




Challenge Quiz

1.

赤、紫、黒、黄色等の複数の色が皮膚に混在している場合には、原因として虐待が疑われる。

2.

熱傷のⅡ度では痛みは感じない。

3.

小児の場合、Ⅱ度以上の熱傷面積が20%以上で重症化、40%以上で生命の危険がある。

4.

低温熱傷は、外見は軽症のように見えても、深い熱傷のことが多いため、必ず病院受診をする必要がある。