養護教諭/バイタルサイン/呼吸

提供:一歩一歩
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【呼吸とは】
呼吸とは、生命活動に欠かせない酸素を体内に取り込み、体内で代謝の結果生じた二酸化炭素を体外に排出することをいいます。

【呼吸測定で知ることができること】
・正常に体内に酸素を取り入れることができているかどうか。

【呼吸で観察すること】
①呼吸数
②深さ
③リズム
④努力呼吸
⑤SpO2値 など
 ※他に呼吸音・チアノーゼ・息苦しさなど→呼吸器のアセスメントで学習するため省略します。

【アセスメント項目】
①呼吸数と②深さの異常

表-バイタルサイン-呼吸-呼吸数と深さの異常.jpg


③リズムの異常
病態によっては、以下のような異常なリズムの呼吸がみられることがあります。

表-バイタルサイン-呼吸-リズムの異常.jpg


④努力呼吸の有無
努力呼吸とは、安静時では使用されない補助呼吸筋を使う呼吸のことです。
安静時の呼吸は、通常、横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみ行われます。
それに対し、努力呼吸では、吸気時には胸鎖乳突筋などの補助呼吸筋を使い、呼気時には内肋間筋や腹筋などを使っています。重度の低酸素血症や喘息などの時にみられます。

表-バイタルサイン-呼吸-努力呼吸.jpg


★1胸鎖乳突筋
振り向いた時に耳の後ろから両鎖骨中央にかけて、浮き上がる筋肉。

図-胸鎖乳突筋.jpg


【呼吸の測定方法】
胸腹部の上下運動を1分間正確に測定します。
呼吸を観察されていることがわかると、意識してしまい、それまでとは異なる呼吸状態になることがあるので測定していることがわからないように注意しましょう。
 →脈拍を測定しているふりなどをして、測定するのがよいでしょう。
【動画】呼吸の測定方法↑【動画】呼吸の測定方法


【SpO2 とパルスオキシメーター】
肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれます。
SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)とは、動脈血中の何%のヘモグロビンが酸素と結合しているか(酸素飽和度)を、皮膚を通して(経皮的に)調べた値です。
パルスオキシメーターは、このSpO2を皮膚を通して測定するための機器です。
この機器により、心肺機能が正常であるかを、常時知ることができるようになりました。
近年では小型化され、測定も簡便で安価な機器が販売されるようになり、学校でも使用するところが増えてきています。
赤い光の出る装置(プローブ)を指にはさむことで測定します。
プローブにある受光部センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値からSpO2を計算し表示します。

図-ヘモグロビンと結合する酸素.jpg


【アセスメント項目】

表-バイタルサイン-呼吸-SpO2.jpg


【注意・補足事項】
SpO2は一定時間、あるいは一定の脈拍毎に得られた値を平均して表示しているため、装着直後ではなく、脈拍が安定する20~30秒後に数値を読むようにしましょう。
パルスオキシメーターの普及から、最近では呼吸数を測定しないケースが問題となっています。
低酸素状態となると、呼吸数を多くすることでそれを補おうとします。
同じSpO2値でも、呼吸数が多い場合には正常とは言えません。
SpO2値だけ見ていると頻呼吸で補われた低酸素血症を見逃してしまうことになります。
呼吸数も併せて測定するようにしましょう。

【パルスオキシメーターの誤差要因】
・血流が低下している場合(指先の冷えなど)
  →マッサージなどをして温め、血流を良くする。
・光を遮るものがある場合(マニキュア・皮膚の色素沈着など)
・プローブの装着不良(体動などによる発光部と受光部のずれなど)

【パルスオキシメーターによるSpO2の測定方法】
【動画】SpO2の測定方法↑【動画】SpO2の測定方法



Challenge Quiz

1.

脳圧亢進時には、頻呼吸になる。

2.

髄膜炎では、ビオー呼吸がみられることがある。

3.

下顎呼吸とは、死戦期呼吸やあえぎ呼吸とも呼ばれ、心停止直前にみられる。