神経系/感覚/イントロ/経路

提供:一歩一歩
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ある刺激が、神経を通じて大脳皮質に到達し、意識された場合、感覚が生じたといいます。知覚ということばもほとんど同様に使われています。刺激は、生体外のものとは限りません。膀胱充満による尿意、血糖値低下による空腹感などは、生体内に生じた刺激による感覚です。


通常の感覚は、受容器、感覚路、大脳皮質の三者がすべて機能して生じています。受容器とは、刺激を電気的信号に変換する装置のことです。感覚路には、受容器に生じた電気信号を神経インパルスとして大脳皮質まで伝える役目があります。末梢から中枢へ向うため、求心路、上行路などともよばれています。末梢神経、中枢神経のいずれをも、感覚路は通過しています。たとえば、手への刺激は、正中神経だけではなく、脊髄と脳をも感覚路として大脳皮質に伝えられます。また、血糖に対する受容器は視床下部にあり、その感覚路はまったく末梢神経を通りません。どの感覚路も、視床を通ってから大脳皮質にいたることは共通しています。大脳皮質は、意識的活動の中枢です。感覚路の神経活動大脳皮質に到達して、はじめて感覚が生じるのです。


通常の感覚は、この三つの機能によって生じるのですから、一つ欠けても、通常の感覚は生じません。手術をするとき、感覚を低下させなければ疼痛が激しく、手術はできません。このとき、受容器、伝導路、大脳皮質のどれか一つの機能を低下させればよいのです。切開すべき皮膚に直接、麻酔剤を投与すると、局所麻酔により受容器の機能が低下し痛みは生じなくなります。また、感覚路をどこか一ケ所でブロックしてもよいのです。脊髄麻酔はこの様式による麻酔です。全身麻酔をかけると最初に大脳皮質の機能が低下します。このとき、受容器、感覚路が活動していても、刺激を感覚することはなくなるわけです。  


異常な感覚は、受容器、伝導路、大脳皮質の三つすべてを必ずしも機能させずに発生します。たとえば、机の角に肘をぶつけると、尺骨神経が発火し、小指に痺れが発生します。受容器が刺激されなくても、感覚は、異常な様式で発生し得るのです。


Challenge Quiz

1.

意識のない状態では、刺激は感覚され  ない

2.

脊髄麻酔のかかっている患者において、下肢への刺激は感覚され  ない

3.

受容器が刺激されたのでなければ、求心路を神経活動が上行しても感覚は生じない。