目次:呼吸商

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酸素(O2)は肺胞から血中に取込まれ、体内の細胞に分配されます。当然のことながら、呼気のO2濃度は、吸気よりも低くなります。この濃度差と一回換気量の積が、血中に取込まれたO2の量であり、定常状態では、体細胞に供給された量でもあります。ある一回の呼吸において取りいれられたO2の量が、そのときの全体細胞のO2消費量の総和である、と考えるのは無理がありますが、一分間ほどのまとまった時間であれば、ほぼ等しいと考えてもよいでしょう。同様のことが、CO2の排出に関しても考察できます。すなわち、呼吸(換気)によるO2、CO2の出し入れを内呼吸の総和である、と考えることができるのです。

呼吸商は、次の様に定義されています。

          単位時間あたりのCO2排出量

呼吸商= ----------------------------------

           単位時間あたりのO2消費量

三大栄養素は、糖、脂質、タンパク質であり、それぞれ、炭素原子、酸素原子、水素原子などの構成割合が異なります。そのため、内呼吸のとき、どの栄養素が分解しているかにより、消費されるO2と産生されるCO2の割合が異なります。体細胞全体である栄養素が主に代謝されているとき、その割合は、呼吸にも反映されるはずです。それを表現したのが、呼吸商なのです。


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脂質: 脂肪酸の構造を考えてみると、炭素原子(C)の鎖のようなものです。脂肪酸自体の中に酸素原子が非常に少ないため、分解するときは多くの酸素を消費しなければなりません。O2消費量の割には、CO2産生量が少ないため、呼吸商は、0.71と三大栄養素の中では最小です。脂肪は、酸素の含有率が低いので、重量あたりの熱量は、9.3kcal/gと三大栄養素中最大です。エネルギーを保存する場合に適した栄養素であり、過食により皮下に貯蔵されるのも脂質です。

糖類: 一般的に、原子の割合はC6H1206です。酸素原子が多く含まれているため、酸素消費量は少なくても分解できます。呼吸商は、1.00と三大栄養素の中では最大です。逆に、酸素の含有が高いので、重量あたりの熱量は、4.1kcal/gと三大栄養素中最小です。

タンパク質: 原子の割合は脂質と糖質の中間であり、呼吸商は、0.85、熱量は、5.3kcal/gです。

Challenge Quiz

1.

生体のCO2排泄量のO2摂取量に対する比を  呼吸商 換気量 という。

2.

呼吸商とは、 O2摂取量のCO2排泄量に対する比 CO2排泄量のO2摂取量に対する比 である。

3.

呼吸商は、その時消費されている栄養素の  種類 が示唆される。

4.

糖質と脂質とでは、脂質の方が含有する酸素原子は  少ない 多い

5.

ぶどう糖と脂質とでは、脂質の方が呼吸商は  大きい 小さい

6.

ブドウ糖の呼吸商は、約 0.7 1.0 である。

7.

脂質の呼吸商は、約 0.7 1.0 である。