呼吸/呼吸調節/中枢神経/概略

提供:一歩一歩
2020年6月17日 (水) 17:44時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版
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Bötzinger complex, PreBötzinger complexなどの吻側腹外側延髄(rostral ventral lateral medulla, RVLM)において、(睡眠時などの)不随意的呼吸の速さ(rhythm)と大きさ(pattern)とが生成(generator)されています。そのため、吻側腹外側延髄の障害では、種々の呼吸異常がもたらされます。徐呼吸 bradypnea、中枢性睡眠時無呼吸 central sleep apneaなどは、rhythm generatorの機能が低下するのですからイメージしやすいと思われます。また、呼吸の周期性が保たれなくなります(別記のCheyne-Stokes呼吸では周期性は保たれています)。吸息タイミングの安定性が低下してバラバラなタイミングで吸息します。これは、不規則呼吸irregular breathing、失調性呼吸 ataxic breathing、ビオー呼吸 Biot breathingなどと呼ばれています。

腹側延髄内側は錐体路が位置しているので、障害されると、(呼吸を含め随意運動ができなくなってしまう)locked-in症候群がもたらされます。


尾側橋(caudal pons)には漸増性吸息neuronがあります。自動車で加速するとき、アクセルを徐々に踏み込むイメージです。尾側橋(caudal pons)の障害では、喘ぎ呼吸 gaspが起こります。アクセルを一気に踏み込むイメージです。


尾側橋(caudal pons)には持続性吸息中枢 apneustic centerがあります。名前の通り、吸息を持続させる中枢です。当然、これを中断させなければ効率よく呼吸できません。この機能を吸息オフスィッチinspiratory off-switchといいます。吸息オフスィッチinspiratory off-switch作用は2カ所に由来すると考えられています。
1.吻側橋(rostral pons)のN.ParaBrachialis Medialisにある呼吸調節中枢 pneumotictic center
2.肺伸展受容器からの感覚性入力
いずれも障害されると、吸息オフスィッチが作用せず、吸息が持続(apneusis)してしまいます。


大脳皮質の働き-1:意識的な機能(随意的運動、感覚)の中枢です。(「はい吸って、はいて」のような)随意的な呼吸 (voluntary respiration)では、脳幹(brainstem)の機能が一時的に抑制され、呼吸筋(respiratory muscles)に対して直接指令が伝えられます。この経路は延髄(medulla oblongata)の内側を通ります。

大脳皮質の働き-2:また、(発声、運動、排便などの)行動(behavior)、(驚き、怒りなどの)感情(emotion)によっても呼吸は調節されます。

大脳皮質の働き-1、2のために、覚醒時、呼吸の安定度は低いのですが、睡眠により、これらの作用は弱くなり、延髄のrhythm generatorのために安定した呼吸になります。