電解質と体液/腎臓と肺、それぞれの機能低下と機能亢進/データの読み方/第2歩/データの読み方/第2歩(中級編)/呼吸性アルカローシス
H+の減少とHCO3-の減少とは呼吸性アルカローシスを示唆する。 |
肺の機能亢進のため、CO2が低下し、重炭酸緩衝系は、「変化を打ち消す方向」、すなわち、
H+ + HCO3- → H2O + CO2
方向に反応が進みます。これにより、H+、HCO3-の両方とも減少します。このような低H+血症が呼吸性アルカローシスであり、HCO3-は減少しているのです。
たとえば、pH, 7.5 ; HCO3-, 22 mEq/L ; CO2, 27 mm Hgの血液検査データでは、正常値よりも水素イオン濃度が減少し、重炭酸イオンは減少しています。これは、血しょうにおける重炭酸緩衝系の化学平衡式H+ + HCO3-←→ H2O + CO2において、最左端にあるH+とHCO3-とが同じ方向に変動しており、血しょうに最初に起こった変化はH+やHCO3-の変動であると思われません。血しょうに最初に起こった変化はCO2の減少と考えると説明がつきます。これは、呼吸(換気)機能 亢進によってもたらされたと思われます。さらに、重炭酸緩衝系はH+ + HCO3- → H2O + CO2の方向に化学変化が生じたと考えられます。pHの変動は呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)とよばれます。
pHの変動 | H+の変動 | HCO3-の変動 | 最初に起った変化 | 重炭酸緩衝系の動き | 診断される病態 |
---|---|---|---|---|---|
増大 | 減少 | 減少 | CO2の減少 | H+ + HCO3- → H2O + CO2 | 呼吸性アルカローシス |
最初の病態として、肺機能が増加した場合を考えてみましょう。
二酸化炭素の排出が増大して、血中の二酸化炭素(CO2)が低下します。
重炭酸緩衝系のバランスが乱されたので、「最初に起こったことを打ち消す方向」、つまりこの場合は右方向に反応が進みます。これにより二酸化炭素(CO2)が生成されるからです。右向き反応で消費されるため水素イオン (H+)が減少し重炭酸イオン(HCO3-)も減少します。
「最初に起こったことが完全に打ち消されるわけではない」のですから、二酸化炭素(CO2)が4低下すると、重炭酸緩衝系の作用により生成される二酸化炭素(CO2)は、それよりも少ないので、2としましょう。水素イオン (H+)も重炭酸イオン(HCO3-)も2消費され減少します。
最初の変化と重炭酸緩衝系の作用までをまとめると、このような新たな平衡が成り立ちます。
pHを横軸、重炭酸イオン(HCO3-)を縦軸とするグラフにおいて、水素イオン(H+)が減少することはpHが上昇するので右方移動となります。重炭酸イオン(HCO3-)が減少することは下方移動となり、この状態はこのようにプロットされます。
Challenge Quiz
H+ + HCO3- ←→ H2O + CO2 において.過換気(肺の機能亢進)そのものにより(重炭酸緩衝系の作用なしに)最初に起こる変化は 呼吸性アシドーシス(による酸血症) 代謝性アシドーシス(による酸血症) 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症) 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症) 高CO2血症 低CO2血症 である.重炭酸緩衝系はこの変化に対して、 H+ + HCO3- ← H2O + CO2 H+ + HCO3- → H2O + CO2 方向に反応が進行する。これにより.HCO3-は 増大 減少 する.
動脈血のpH, 7.50 ; HCO3-, 22 mEq/L ; CO2, 27 mm Hgの血液検査データでは、正常値よりも水素イオン濃度が 増大 減少 し、重炭酸イオンは 増大 減少 している。これは、血漿における重炭酸緩衝系の化学平衡式H+ + HCO3- ←→ H2O + CO2において、最左端にあるH+とHCO3-とが 同じ 異なる 方向に変動しており、血漿に最初に起こった変化はH+の変動であると 思われる 思われない 。血漿に最初に起こった変化は H+ CO2 の 増大 減少 と考えると説明がつく。これは、 呼吸(換気) 腎臓 の機能 亢進 不全 によってもたらされたと思われる。さらに、重炭酸緩衝系は H+ + HCO3- ← H2O + CO2 H+ + HCO3- → H2O + CO2 の方向に化学変化が生じたと考えられる。pHの変動は 代謝性 呼吸性 アシドーシス(による酸血症) アルカローシス(によるアルカリ血症) とよばれる。