電解質と体液/代償作用/呼吸性アシドーシスに対する腎臓による代償(略した説明)

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2015年7月21日 (火) 12:27時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版
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POINT!


第6章では、肺の機能低下により高CO2血症がもたらされ、重炭酸緩衝系がH+←CO2方向へ変換することで高CO2血症が緩衝され、アシドーシスによる酸血症がもたらされることを学んだ。 また、この際、重炭酸イオン(HCO3-)が増大することを学んだ。ここまでは下図のようにまとめられる。青丸は正常範囲であり、横軸はpH、縦軸はHCO3-濃度である。


01956.jpg

重炭酸緩衝系により、高CO2血症という負荷が肺と腎臓とで分担されたわけである。では、腎臓が分担すべき負荷をこなした、すなわち、過剰となったH+の排泄を増大させた場合を検討してみよう。



発症前H++HCO3-←→H2O+CO2
原疾患(肺の機能低下)により最初に起こる変化      ↑↑↑↑
重炭酸緩衝系の作用↑↑  ↑↑   ↓↓
<<ここまでの総和>>↑↑ ↑↑←→  ↑↑
腎臓による代償↓↓      
重炭酸緩衝系の作用 ←   ↓ 
<<すべての総和>> ↑↑↑←→  


1段目(原疾患により最初に起こる変化),2段目(重炭酸緩衝系の作用),3段目(ここまでの総和)第6章で説明ずみである。ただし、矢印の数が2倍になっている。これは、単に説明の都合である。この状態で、重炭酸緩衝系は化学的平衡(←→)を保っている。
4段目(腎臓による代償)腎臓が分担すべき負荷をこなし、腎機能が代償性に亢進する。すなわち、過剰となったH+の排泄を増大させ、血しょう中のH+量が減少(↓↓)した。これは重炭酸緩衝系にとっては、新たな変化であり、3段目の平衡を崩す。
5段目化学的平衡に外からの攪乱で変化が生じると、「変化を打ち消す方向」に化学反応が進むため、腎臓による代償(H+↓↓)に対して(H+ + HCO3- ← H2O + CO2方向に反応が進行する。また、「変化量より 少ない 量」化学反応が進むため、変化量は4段目より少なく、矢印は1本ずつある。
6段目(すべての総和)3段目から5段目までの(すなわち,1,2,4,5段目の)総和である。3段目、すなわち、腎臓による代償と重炭酸緩衝系の作用が加わる前の状態と比較してみよう。


*酸血症(pH低下)は緩衝(H+:↑↑→↑)されている

*高CO2血症は緩衝(↑↑→↑)されている

*HCO3-の増大がさらに進行(↑↑→↑↑↑)している


ここに注目しよう!


01957.jpg

腎臓による代償と重炭酸緩衝系の作用が加わることにより、酸血症(pH低下)が緩衝され、HCO3-がさらに上昇した様子を書き加えてみたのが上図である。



最初の病態として、肺機能が低下した場合を考えてみましょう。

二酸化炭素の排出が低下して、血中の二酸化炭素(CO2)が<増大[上向き矢印ワイプ]>します。

重炭酸緩衝系の<バランス[←→ブリンク]>が乱されたので、「最初に起こったことを打ち消す方向」、つまりこの場合は<左[左向きワイプ]>方向に反応が進みます。これにより<二酸化炭素(CO2)[文字ブリンク]>が<消費される[下向き矢印ワイプ]>からです。左向き反応で生成されるため<水素イオン (H+)[文字ブリンク]>が<増大[↑ワイプ]>し<重炭酸イオン(HCO3-)[文字ブリンク]>も<増大[↑ワイプ]>します。

「最初に起こったことが完全に打ち消されるわけではない」のですから、二酸化炭素(CO2)が<4[ブリンク]>増大すると、重炭酸緩衝系の作用により消費される二酸化炭素(CO2)は、それよりも少ないので、<2[ブリンク]>としましょう。<水素イオン (H+)[文字ブリンク]>も<重炭酸イオン(HCO3-)[文字ブリンク]>も<2[↑ブリンク]>生成され増大します。

<最初(CO2の↑↑↑↑ブリンク)>の変化と重炭酸緩衝系の<作用[全体ブリンク]>までをまとめると、<このよう[ここまでの総和の行がアピール]>な新たな平衡が成り立ちます。

pHを横軸、重炭酸イオン(HCO3-)を縦軸とするグラフにおいて、<水素イオン(H+)[↑↑ブリンク]>が増大することはpHが低下するので左方移動となります。<重炭酸イオン(HCO3-)[↑↑ブリンク]>が増大することは上方移動となり、この状態は<このように[グラフアピール]>プロットされます。

<[グラフクリア]>

<水素イオン(H+)[↑↑ブリンク]>が増大したことが、<腎機能〔文字ブリンク〕>を<促進(促進の矢印ワイプ、腎機能亢進の上向き矢印ワイプ)>します。<酸(H+)[2箇所の文字ブリンク]>の<排泄[移動の矢印ブリンク]>が<多く〔移動の矢印太く、排泄の上向き矢印ワイプ〕>なります。これにより、血中の<水素イオン(H+)〔文字ブリンク〕>は<減少[↓↓ワイプ]>します。これは<腎臓による代償〔文字ブリンク〕>とよばれています。

これは、<新しい平衡状態〔4行目の←→ブリンク〕>にあった重炭酸緩衝系のバランスを乱すことになり、「最初に起こったことを打ち消す方向」、つまりこの場合も<左[左向きワイプ]>方向に反応が進みます。これにより<二酸化炭素(CO2)[文字ブリンク]>が<消費される[↓ワイプ]>からです。左向き反応で生成されるため<水素イオン (H+)[文字ブリンク]>が<増大[↑ワイプ]>し<重炭酸イオン(HCO3-)[文字ワイプ]>も<増大[↑ワイプ]>します。

ここまでの総和<以降〔下から2,3,4行目をブリンク〕>をまとめた<このよう[すべての総和の行がアピール]>な新たな平衡が成り立ちます。

pHを横軸、重炭酸イオン(HCO3-)を縦軸とするグラフにおいて、呼吸性アシドーシスと比べ、<水素イオン(H+)[下から1,4行目のH+↑ブリンク]>の増大は小さくなり、左方移動が小さくなります。また<重炭酸イオン(HCO3-)[下から1,4行目のHCO3-↑↑↑ブリンク]>の増大が大きくなり、上方移動は大きくなります。

この状態は<このように[グラフアピール]>プロットされます。



Challenge Quiz

1.

腎臓によって代償される前の呼吸性アシドーシス(肺の機能低下による高CO2血症に対して重炭酸緩衝系が作用した状態)においては.HCO3-は正常値よりも  上昇 低下 する.

2.

呼吸性アシドーシス(による酸血症)に対する腎臓の代償とは.H+排泄の  増大 低下 である.

3.

呼吸性アシドーシス(による酸血症)に対して腎臓が代償したのち.重炭酸緩衝系は. H2O + HCO3- ← H2O + CO2 H2O + HCO3- → H2O + CO2 方向へ作用する.

4.

呼吸性アシドーシス(による酸血症)に対する腎臓の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により.高CO2血症は  さらに進行する 緩衝される .

5.

呼吸性アシドーシス(による酸血症)に対する腎臓の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により.HCO3-の増大は  さらに進行する 緩衝される .

6.

呼吸性アシドーシス(による酸血症)に対する腎臓の代償作用と重炭酸緩衝系の作用により.酸血症(pH低下)は  さらに進行する 緩衝される .