内分泌系/第3章:下垂体後葉ホルモン/バゾプレッシン、抗利尿ホルモン anti-diuretic hormone (ADH)/説明に動静脈が入っている、以前の複雑な説明/ADH不適合分泌症候群
ADH不適合分泌症候群 Syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)とは,ADH (vasopressin)分泌過剰により,血しょう浸透圧が低下する疾患である |
ADH不適合分泌症候群は下垂体からのADH (vasopressin)分泌亢進が本態である.
(既述始め)腎動脈に等張な血しょうが流入する.遠位尿細管の出口(集合管入り口)付近では,尿細管液は低張になり,集合管での水分再吸収がなければ,高張な血しょうが腎静脈から流出する.腎動脈の血しょう浸透圧が等張で下垂体からのADH (vasopressin)分泌が正常であり,集合管の機能が正常なら,集合管の水チャンネルが開くために水分が再吸収され,腎静脈から流出する血しょうは等張になる.(既述終わり)
しかし,ADH不適合分泌症候群では,ADH (vasopressin)の分泌亢進のため,水チャンネルを開く作用が強い.そのため,多くの水分が再吸収され,高張な尿が少量排泄される.腎静脈からは低張な血しょうが流出し,大動静脈の血しょうを低張にする.これは,負のフィードバックにより下垂体後葉からのADH (vasopressin)分泌を低下させようとするが,下垂体後葉からのADH (vasopressin)分泌が病的に亢進しているため,ADH (vasopressin)の分泌は低下しない.
基本的に,下垂体性尿崩症の対極に位置する疾患である.
文字の図にまとめてみよう.ADH(vasopression)の分泌亢進が主病態である. ADH分泌亢進に見合っただけ,水チャンネルの開き(水分の再吸収)は多く,「血しょう浸透圧の低下」が多い(低張となる)のである.負のフィードバックシステムは,ADH(vasopression)分泌を低下させようとするが,これに見合ったADH(vasopression)分泌の低下がないことが1次的な病態なのである.
症状 | 低Na血症による症状 | |
悪心,嘔吐 | ||
性格の変化,錯乱,痙攣,昏睡 | ||
検査 | 血しょうNa↓,血しょう浸透圧↓,尿浸透圧↑,ADH↑ | |
水を負荷しても尿の浸透圧は血しょう浸透圧よりも大きい(濃い尿が出つづける) |
Challenge Quiz
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)の患者では、ADHの分泌、血中濃度は、低張な血漿浸透圧からの負のフィードバックに 見合わず病的に高い. 見合って高い. 見合って低い. 見合わず病的に低い 。
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)の患者では、集合管での水分再吸収は、低張な血漿浸透圧からの負のフィードバックに 見合わず病的に亢進している. 見合って亢進している. 見合って低下している. 見合わず病的に低下している 。
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)の患者では、尿量は、低張な血漿浸透圧からの負のフィードバックに 見合わず病的に多い. 見合って多い. 見合って少ない.見合わず病的に少ない 。
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)の患者では、尿の浸透圧は、低張な血漿浸透圧からの負のフィードバックに 見合わず病的に上昇している. 見合って上昇している. 血漿が等張の正常人と同じ. 見合って低下している. 見合わず病的に低下している 。
尿量が少なく.~尿の浸透圧は高値であった.考えられる診断は 脱水. ADH不適合分泌症候群.この二つから選択するには情報が不足している .
尿量が少なく、尿の浸透圧は高値で、大動静脈の血漿浸透圧は高値であった。考えられる診断は 脱水. ADH不適合分泌症候群. この二つから選択するには情報が不足している 。
尿量が少なく、尿の浸透圧は高値で、大動静脈の血漿浸透圧は低値であった。考えられる診断は 脱水.ADH不適合分泌症候群. この二つから選択するには情報が不足している 。
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)では、血漿浸透圧は 高張. 等張.低張 である。
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)の患者では.~集合管での水分再吸収は.~血中の 高い. 通常の. 低い ADH濃度に 見合わず病的に多い.見合って多い. 見合って少ない. 見合わず病的に少ない 量である.
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)の本態は ADHの分泌低下. 水チャンネルの障害.ADHの分泌亢進 である。
ADH不適合分泌症候群 syndrome of inappropriate secretion of ADH (SIADH)、は血漿から尿を生成する際、水分が血漿に異常に残り、血漿が希釈される疾患である。SIADHでは、血圧は 上昇する.不変である. 低下する 。