電解質と体液/肺、腎による酸性物質の排出と血漿緩衝系のはたらき/重炭酸イオンの動き

提供:一歩一歩
2013年4月9日 (火) 10:59時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (ページの作成: デンカイシツトタイエキ {{Point|重炭酸緩衝系は、次の平衡式によって、H<sup>+</sup>とCO<sub>2</sub>とを相互に変...)
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POINT!


化学的平衡式の基礎については、補足の章で述べています。まとめるならば...


* 最初、H+もHCO3-もCO2も、濃度は正常範囲である。

* いずれかの物質が増減すると、その「変化を打ち消す方向」に、化学反応が進む。しかし...

* その変化が完全に消えるのではなく、小さく残る。すなわち、「変化量より少ない量」化学反応が進む。


「酸性物質の定義」、「生体内での生産」で学んだように、HCO3-はアルカリ性物質です。生体内の最重要なアルカリ性物質です。血漿HCO3-の正常値は24 mEq/Lです。


重炭酸緩衝系を実際に動かしてみましょう...(注意!!重炭酸緩衝系の作用のみをまとめました。下記の病態では、実際には、種々の代償が働き、血中の変化は「総和」のようにはなりません。これは、第7章で勉強しましょう。)


a:動脈血中のCO2濃度が上昇すると...

変化の前H++HCO3-←→H2CO3←→H2O+CO2
動脈血に最初に起こる変化↑↑
重炭酸緩衝系の作用↑ ↑ ↓ 
総和


CO2が増大すると、重炭酸緩衝系は、H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2の方向に作用します。この化学反応は、CO2を減少させるので、「変化を打ち消す方向」です。「変化量より少ない量」化学反応が進むため、緩衝系により減少するCO2の量(↓)は、最初に増大する量(↑↑)より小さくなります。そのため、総和としては、CO2もH+も増大します。


b:動脈血中のH+濃度が上昇すると...


変化の前H++HCO3-←→H2CO3←→H2O+CO2
動脈血に最初に起こる変化↑↑
重炭酸緩衝系の作用↓ ↓ ↑ 
総和


H+が増大すると、重炭酸緩衝系は、H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2の方向に作用します。この化学反応は、H+を減少させるので、「変化を打ち消す方向」です。「変化量より少ない量」化学反応が進むため、緩衝系により減少するH+の量(↓)は、最初に増大する量(↑↑)より小さくなります。そのため、総和としては、H+もCO2も増大します。


c:動脈血中のCO2濃度が低下すると...


変化の前H++HCO3-←→H2CO3←→H2O+CO2
動脈血に最初に起こる変化↓↓
重炭酸緩衝系の作用↓ ↓ ↑ 
総和


CO2が減少すると、重炭酸緩衝系は、H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2の方向に作用します。この化学反応は、CO2を増大させるので、「変化を打ち消す方向」です。「変化量より少ない量」化学反応が進むため、緩衝系により増大するCO2の量(↑)は、最初に減少する量(↓↓)より小さくなります。そのため、総和としては、H+もCO2も減少します。


d:動脈血中のH+濃度が低下すると...


変化の前H++HCO3-←→H2CO3←→H2O+CO2
動脈血に最初に起こる変化↓↓
重炭酸緩衝系の作用↑ ↑ ↓ 
総和


H+が減少すると、重炭酸緩衝系は、H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2の方向に作用します。この化学反応は、H+を増大させるので、「変化を打ち消す方向」です。「変化量より少ない量」化学反応が進むため、緩衝系により増大するH+の量(↑)は、最初に減少する量(↓↓)より小さくなります。そのため、総和としては、H+もCO2も減少します。


Challenge Quiz

1.

重炭酸は  酸性物質. 中性物質. アルカリ性物質 である。

重炭酸イオンは  酸性物質. 中性物質.アルカリ性物質 である。

H+ + HCO3- ←→ H2CO3 ←→ H2O +CO2だけにおいて、CO2が正常値から増大すると、平衡式は  H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2. H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2 の方向に作用し、総和として(変化前と比較して)、H+増大し. 変動せず. 減少し 、HCO3-は   増大し. 変動せず. 減少し 、CO2の増大は 最初の増大より小さい増大が残る. 完全に消えて正常値に戻る. 逆に、正常値よりも減少してしまう

H+ + HCO3- ←→ H2CO3 ←→ H2O + CO2だけにおいて、H+が正常値から増大すると、平衡式は  H++HCO3- ← H2CO3 ← H2O +CO2.H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O+CO2 の方向に作用し、総和として(変化前と比較して)、HCO3-増大し. 変動せず.減少し 、CO2は  増大し. 変動せず. 減少し 、H+の増大は 最初の増大より小さい増大が残る. 完全に消えて正常値に戻る. 逆に、正常値よりも減少してしまう

H+ + HCO3- ←→ H2CO3 ←→ H2O + CO2だけにおいて、CO2が正常値から減少すると、平衡式は  H+ +HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2.H++ HCO3- → H2CO3 → H2O +CO2 の方向に作用し、総和として(変化前と比較して)、H+は   増大し. 変動せず.減少し 、HCO3-は   増大し. 変動せず.減少し 、CO2の減少は   最初の減少より小さい減少が残る. 完全に消えて正常値に戻る. 逆に、正常値よりも増大してしまう

H+ + HCO3- ←→ H2CO3 ←→ H2O + CO2だけにおいて、H+が正常値から減少すると、平衡式は  H+ +HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2. H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2 の方向に作用し、総和として(変化前と比較して)、HCO3-は   増大し. 変動せず. 減少し 、CO2は   増大し. 変動せず.減少し 、H+の減少は   最初の減少より小さい減少が残る. 完全に消えて正常値に戻る. 逆に、正常値よりも増大してしまう