概論/エネルギー代謝/主な病的代謝/乳酸の蓄積
解糖系が亢進しすぎると、乳酸が蓄積する |
中等度の運動時における代謝の図です。安静時と比べて、嫌気的代謝も好気的代謝も亢進し、線が太くなっています。
電子伝達系は酵素が弱く、ある一定以上、反応速度を増大させることができません(図の管が細い)。そのため、電子伝達系に共役した酸化的リン酸化反応が短時間に大量のATPを供給することはできません。また、クレブス回路は水素を大量に生成するため、電子伝達系が亢進し得ない場合、同様に反応を亢進し得ません。
要するに、好気的代謝は「頭打ち」になりやすいのです。中等度の運動(上図)と比べて、高度な運動(下図)ではミトコンドリア内は同程度のレベルです。
解糖系は、酵素が強く、酸素なしで反応し得るため、電子伝達系が増大し得ない場合でも、亢進し、ATPを供給し得えます。中等度の運動(上図)と比べて、高度な運動になることにより、増大する反応は赤で示しています。
ただし、解糖系のみが亢進し、電子伝達系とクレブス回路とが亢進し得ない場合、水素とピルビン酸とが蓄積してしまいます。さらに、ピルビン酸と水素とが結合し、乳酸が生成されます。乳酸は細胞を障害し得るため、解糖系のみを長く亢進させることはできません。
Challenge Quiz
ATPが短時間に大量に必要なときに急激に亢進する代謝経路は、主に 解糖系. クレブス回路. 電子伝達系(ならびに共役した酸化的リン酸化反応). β-酸化 である。
激しい運動をするとき、中等度の運動と比べて、解糖系は 著しく亢進し. 低下し. あまり変わらず(「頭打ち」となり) 、クレブス回路、電子伝達系(ならびに共役した酸化的リン酸化反応)は 著しく亢進する. 低下する.あまり変わらない(「頭打ち」となる) 。
10 kmをジョギングするとき、解糖系は 亢進. 低下 し、クレブス回路、電子伝達系(ならびに共役した酸化的リン酸化反応)は 亢進. 低下 する。
糖の嫌気的代謝が亢進し、好気的代謝が低下した状態では、主に CO<sub>2</sub>. ケトン体. ADP.乳酸. 脂肪酸 が細胞内に増加する。