泌尿器系/腎臓/カルシウムイオン、リン酸イオンの調節/まとめ
正常の図
動画と音声での説明
食物中のカルシウムは、摂食されると、小腸内に入ります。食物中のリン(酸)も、摂食されると、小腸内に入ります。
小腸内のカルシウムとリン(酸)とは吸収され、血液に入ります。
カルシウムとリン(酸)とは結合し、骨でリン酸カルシウムという骨塩になります。
ビタミンKもエストロゲンもこの骨形成を促進します。副甲状腺ホルモンは逆に、骨を破壊します。
血液中のカルシウムは腎臓に流入すると、約80%はそのまま血液に流出します。約20%がろ過され、その一部が再吸収され、再吸収されなかった分が尿中に流出されます。血液中のリン(酸)も同様に、腎臓に流入すると、約80%はそのまま血液に流出します。約20%がろ過され、その一部が再吸収され、再吸収されなかった分が尿中に流出されます。
食物中のビタミンDは、摂食されると、小腸に入り、吸収されます。また、皮膚において、プロビタミンDというビタミンDの前駆体が、紫外線の作用によりビタミンDに変化し、吸収されます。
肝臓においてビタミンDは水酸化され、水酸化ビタミンDは腎臓に移動します。腎臓において水酸化ビタミンDは活性型ビタミンDになり血液に移動します。
血中の活性型ビタミンDは小腸でのカルシウム吸収を促進します。活性型ビタミンDは腎臓の尿細管でのカルシウム再吸収も促進します。
血中の活性型ビタミンDは小腸でのリン(酸)吸収を促進します。さらに、活性型ビタミンDは副甲状腺ホルモンも抑制します。
腎不全(慢性腎臓病 chronic kidney disease, CKD)の図
動画と音声での説明
腎不全、慢性腎臓病では、カルシウムのろ過が低下するため、このことからは血液中のカルシウムは増加します。同様に、リン(酸)のろ過が低下するため、血液中のリン(酸)は増加します。
腎臓における水酸化ビタミンDの活性化も低下するため、活性型ビタミンDは減少します。
活性型ビタミンDのカルシウム吸収促進作用が低下します。また、尿細管におけるカルシウム再吸収促進作用も低下します。これらのことからはカルシウムは減少します。
活性型ビタミンDの副甲状腺ホルモン抑制作用も低下します。そのため、副甲状腺ホルモンは亢進します。
副甲状腺ホルモンの骨破壊作用が強くなります。そのため、骨塩であるリン酸カルシウムが減少します。血液中のリン(酸)はさらに増加します。このことからは血液中のカルシウムは増加します。
高リン血症のため、カルシウムと結合(矢印)しますが、リン酸カルシウムが骨ではなく、血管などに沈着します。これを異所性石灰化といいます。
Challenge Quiz
腎不全(慢性腎臓病 chronic kidney disease, CKD)において、低下しているのは 腎臓からのリン(酸イオン)排泄量 骨中のリン酸カルシウム量 血中のリン(酸イオン)濃度 腸管からのカルシウムイオン吸収 活性化ビタミンD 副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone、PTH、パラソルモン) 糸球体ろ過量 糸球体におけるリン(酸イオン)のろ過量 骨からのリン酸カルシウム量の遊離 腎臓尿細管からのカルシウムイオン再吸収 軟部組織のリン酸カルシウム量 骨へのリン酸カルシウム量の沈着 血中のカルシウム濃度 である。
腎不全(慢性腎臓病 chronic kidney disease, CKD)において、増大・亢進しているのは 軟部組織のリン酸カルシウム量 糸球体におけるリン(酸イオン)のろ過量 骨へのリン酸カルシウム量の沈着 活性化ビタミンD 副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone、PTH、パラソルモン) 腎臓からのリン(酸イオン)排泄量 糸球体ろ過量 腎臓尿細管からのカルシウムイオン再吸収 血中のカルシウム濃度 骨からのリン酸カルシウム量の遊離 腸管からのカルシウムイオン吸収 骨中のリン酸カルシウム量 血中のリン(酸イオン)濃度 である。