「養護教諭／バイタルサイン／体温」の版間の差分

2019年11月10日 (日) 15:21時点における最新版

【体温とは】
体温とは、心臓から駆出された直後の大動脈を流れる動脈血の温度のことです。
しかし、直接測定することができないため、近い数値を示し、かつ測定しやすい部位の温度を体温としています。
測定部位は、腋窩、口腔、鼓膜、額、直腸などが用いられます。

【体温測定で知ることができること】
・測定値を他の所見と合わせて、疾患や原因となる病態を推察することができる。
　特に、感染症を考える際には有用です。

【アセスメント項目】

【注意点・補足事項】
体温計には、測定部位により、腋窩用、口腔用、鼓膜用、非接触用、直腸用、などの種類があります。
通常は簡便で不快感を伴わない腋窩用体温計が使われます。
救急の場面では瞬時に測定できる鼓膜用体温計などが、感染症が疑われる場合には非接触体温計などが使われることもあります。

【体温の測定方法】
・腋窩用体温計
汗をかいている場合は、気化熱により体表面の温度が奪われ、体温が低下し低く測定されます。
汗を拭った後、一度腋を締め、皮膚表面の温度を戻してから測定しましょう。
皮膚表面の温度は体温に比べて低いため、できるだけ正確に測定するには、体温計を腋窩の最も深い部分に固定する必要があります。
身体の縦の線に対して30～45度になるように体温計を挿入しましょう。

【動画】体温の測定方法（腋窩用体温計）↑【動画】体温の測定方法（腋窩用体温計）

・鼓膜用体温計
センサーが鼓膜からの赤外線をまっすぐキャッチできるように、耳介を後方に引っ張り、外耳道を一直線にします。
耳の中が汚れていると正確な測定ができないため、耳垢などはきれいに取り除いておきましょう。
【動画】体温の測定方法（鼓膜用体温計）↑【動画】体温の測定方法（鼓膜用体温計）

・非接触体温計
接触しない方が望ましい感染症が疑われる場合に便利な体温計です。
【動画】体温の測定方法（非接触体温計）↑【動画】体温の測定方法（非接触体温計）

Challenge Quiz

小学生の体温の正常範囲は、36.9℃前後である。 ○ ✕ 正解!

体温が正常範囲よりも低い場合には、原因として出血性ショックなどが考えられる。 ○ ✕ 正解!

腋窩用体温計を用いて体温をできるだけ正確に測定するには、体温計を身体の縦の線に対して90度になるように挿入する。 ○ ✕ 正解!

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-'''【呼吸とは】'''<br>
+'''【体温とは】'''<br>
-呼吸とは、生命活動に欠かせない酸素を体内に取り込み、体内で代謝の結果生じた二酸化炭素を体外に排出することをいいます。<br><br>
+体温とは、心臓から駆出された直後の大動脈を流れる動脈血の温度のことです。<br>
+しかし、直接測定することができないため、近い数値を示し、かつ測定しやすい部位の温度を体温としています。<br>
+測定部位は、腋窩、口腔、鼓膜、額、直腸などが用いられます。<br><br>
-'''【呼吸測定で知ることができること】'''<br>
+'''【体温測定で知ることができること】'''<br>
-・正常に体内に酸素を取り入れることができているかどうか。<br><br>
+・測定値を他の所見と合わせて、疾患や原因となる病態を推察することができる。<br>
+　特に、感染症を考える際には有用です。<br><br>
-'''【呼吸で観察すること】'''<br>
-①呼吸数<br>
-②深さ<br>
-③リズム<br>
-④努力呼吸<br>
-⑤SpO2値　など<br>
-　※他に呼吸音・チアノーゼ・息苦しさなど→呼吸器のアセスメントで学習するため省略します。<br><br>
 '''【アセスメント項目】'''<br>
-'''①呼吸数と②深さの異常'''<br>
+[[ファイル:表-バイタルサイン-体温-アセスメント項目.jpg|300px|left]]
-[[ファイル:表-バイタルサイン-呼吸-呼吸数と深さの異常.jpg|300px|left]]
-<br style="clear:both;" />
-'''③リズムの異常'''<br>
-病態によっては、以下のような異常なリズムの呼吸がみられることがあります。<br>
-[[ファイル:表-バイタルサイン-呼吸-リズムの異常.jpg|300px|left]]
-<br style="clear:both;" />
-'''④努力呼吸の有無'''<br>
-努力呼吸とは、安静時では使用されない補助呼吸筋を使う呼吸のことです。<br>
-安静時の呼吸は、通常、横隔膜や外肋間筋などの呼吸筋の収縮と弛緩によってのみ行われます。<br>
-それに対し、努力呼吸では、吸気時には胸鎖乳突筋などの補助呼吸筋を使い、呼気時には内肋間筋や腹筋などを使っています。重度の低酸素血症や喘息などの時にみられます。<br>
-[[ファイル:表-バイタルサイン-呼吸-努力呼吸.jpg|300px|left]]
 <br style="clear:both;" />
-'''★1胸鎖乳突筋'''<br>
+'''【注意点・補足事項】'''<br>
-振り向いた時に耳の後ろから両鎖骨中央にかけて、浮き上がる筋肉。<br>
+体温計には、測定部位により、腋窩用、口腔用、鼓膜用、非接触用、直腸用、などの種類があります。<br>
-[[ファイル:図-胸鎖乳突筋.jpg|300px|left]]
+通常は簡便で不快感を伴わない腋窩用体温計が使われます。<br>
+救急の場面では瞬時に測定できる鼓膜用体温計などが、感染症が疑われる場合には非接触体温計などが使われることもあります。<br><br>
-<br style="clear:both;" />
-'''【呼吸の測定方法】'''<br>
+'''【体温の測定方法】'''<br>
-胸腹部の上下運動を1分間正確に測定します。<br>
+'''・腋窩用体温計'''<br>
-呼吸を観察されていることがわかると、意識してしまい、それまでとは異なる呼吸状態になることがあるので測定していることがわからないように注意しましょう。<br>
+汗をかいている場合は、気化熱により体表面の温度が奪われ、体温が低下し低く測定されます。<br>
-　→脈拍を測定しているふりなどをして、測定するのがよいでしょう。<br>
+汗を拭った後、一度腋を締め、皮膚表面の温度を戻してから測定しましょう。<br>
-[[メディア:004呼吸の測定方法.mp4|↑【動画】呼吸の測定方法]]：動画と音声での説明
+皮膚表面の温度は体温に比べて低いため、できるだけ正確に測定するには、体温計を腋窩の最も深い部分に固定する必要があります。<br>
+身体の縦の線に対して30～45度になるように体温計を挿入しましょう。<br>
+[[ファイル:表-バイタルサイン-体温-腋窩用体温計の挿入角度.jpg|300px|left]]
 <br style="clear:both;" />
-'''【SpO2 とパルスオキシメーター】'''<br>
+[[メディア:006体温の測定方法-腋窩用体温計.mp4|【動画】体温の測定方法（腋窩用体温計）]]↑【動画】体温の測定方法（腋窩用体温計）
-肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれます。<br>
-SpO2（経皮的動脈血酸素飽和度）とは、動脈血中の何%のヘモグロビンが酸素と結合しているか（酸素飽和度）を、皮膚を通して（経皮的に）調べた値です。<br>
-パルスオキシメーターは、このSpO2を皮膚を通して測定するための機器です。<br>
-この機器により、心肺機能が正常であるかを、常時知ることができるようになりました。<br>
-近年では小型化され、測定も簡便で安価な機器が販売されるようになり、学校でも使用するところが増えてきています。<br>
-赤い光の出る装置（プローブ）を指にはさむことで測定します。<br>
-プローブにある受光部センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値からSpO2を計算し表示します。<br>
-[[ファイル:図-ヘモグロビンと結合する酸素.jpg|150px|left]]
 <br style="clear:both;" />
-'''【アセスメント項目】'''<br>
+'''・鼓膜用体温計'''<br>
-[[ファイル:表-バイタルサイン-呼吸-SpO2.jpg|300px|left]]
+センサーが鼓膜からの赤外線をまっすぐキャッチできるように、耳介を後方に引っ張り、外耳道を一直線にします。<br>
+耳の中が汚れていると正確な測定ができないため、耳垢などはきれいに取り除いておきましょう。<br>
+[[メディア:007体温の測定方法-鼓膜用体温計.mp4|【動画】体温の測定方法（鼓膜用体温計）]]↑【動画】体温の測定方法（鼓膜用体温計）
 <br style="clear:both;" />
-'''【注意・補足事項】'''<br>
+'''・非接触体温計'''<br>
-SpO2は一定時間、あるいは一定の脈拍毎に得られた値を平均して表示しているため、装着直後ではなく、脈拍が安定する20～30秒後に数値を読むようにしましょう。<br>
+接触しない方が望ましい感染症が疑われる場合に便利な体温計です。<br>
-パルスオキシメーターの普及から、最近では呼吸数を測定しないケースが問題となっています。<br>
+[[メディア:008体温の測定方法-非接触体温計.mp4|【動画】体温の測定方法（非接触体温計）]]↑【動画】体温の測定方法（非接触体温計）
-低酸素状態となると、呼吸数を多くすることでそれを補おうとします。<br>
-同じSpO2値でも、呼吸数が多い場合には正常とは言えません。<br>
-SpO2値だけ見ていると頻呼吸で補われた低酸素血症を見逃してしまうことになります。<br>
-呼吸数も併せて測定するようにしましょう。<br><br>
-'''【パルスオキシメーターの誤差要因】'''<br>
-・血流が低下している場合（指先の冷え）<br>
-　　→マッサージなどをして温め、血流を良くする。<br>
-・光を遮るものがある場合（マニキュア・皮膚の色素沈着など）<br>
-・プローブの装着不良（体動などによる発光部と受光部のずれなど）<br><br>
-'''【パルスオキシメーターによるSpO2の測定方法】'''<br>
-[[メディア:005SpO2の測定方法.mp4|↑【動画】SpO2の測定方法]]：動画と音声での説明
 <br style="clear:both;" /><br>
@@ 87行目: / 49行目: @@
 //RAND
-脳圧亢進時には、頻呼吸になる。{○~=✕}
+小学生の体温の正常範囲は、36.9℃前後である。{=○~✕}
 //RAND
-髄膜炎では、ビオー呼吸がみられることがある。{=○~✕}
+体温が正常範囲よりも低い場合には、原因として出血性ショックなどが考えられる。{=○~✕}
 //RAND
-下顎呼吸とは、死戦期呼吸やあえぎ呼吸とも呼ばれ、心停止直前にみられる。{=○~✕}
+腋窩用体温計を用いて体温をできるだけ正確に測定するには、体温計を身体の縦の線に対して90度になるように挿入する。{○~=✕}
 </GIFT>

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