「養護教諭/概要/フィジカルアセスメントの流れ」の版間の差分

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'''《フィジカルアセスメントの流れ》'''<br>
養護教諭は、学校における救急処置として、医療機関へ送るまでの緊急・応急的な処置と医療の対象とはならない軽微な傷病に対する処置を行っており、「病院受診が必要な状態であるかどうか」「緊急性があるかどうか」を判断する必要があります。<br>
'''【症状があるとき】'''<br>
それらの判断のためには、<font color="red">問診の他、視診・打診・触診・聴診などを用いて客観的な情報を収集</font>することが必要です。<br><br>
 
'''・症状があるとき'''<br>
訴える症状から起こり得る病態や疾患のうち、緊急度の高いものを想起します。<br>
訴える症状から起こり得る病態や疾患のうち、緊急度の高いものを想起します。<br>
例え頻度が高くなくても、見逃してはいけないものからアセスメントするようにしましょう。<br>
例え頻度が高くなくても、<font color="red">見逃してはいけないものからアセスメント</font>するようにしましょう。<br>
この場合は、頭から爪先まで、全ての項目をアセスメントするのではなく、緊急度の判断に必要な項目に限定し、かつ優先順位の高い項目からアセスメントします。<br>
この場合は、頭から爪先まで、全ての項目をアセスメントするのではなく、緊急度の判断に必要な項目に限定し、かつ優先順位の高い項目からアセスメントします。<br>
アセスメントの結果、緊急度が高くないと判断した場合には、以下、【症状がないとき】と同様にアセスメントをしていきます。<br><br>
アセスメントの結果、緊急度が高くないと判断した場合には、以下、「症状がないとき」と同様にアセスメントをしていきます。<br>
 
'''【症状がないとき】'''<br>
原則的には頭から爪先まで行います。<br>
よく見る症状や訴え、また、初めに目に飛び込んできた情報に惑わされてピットフォール(落とし穴)にはまってきたのは養護教諭だけではありません。<br>
頭から爪先までを部位別または器官別にアセスメントするというのは、医学分野などの先人の知恵です。<br><br>


'''・症状がないとき'''<br>
原則的には<font color="red">頭から爪先までアセスメント</font>します。<br>
順番は、養護教諭本人が実施しやすい順番で構いません。<br>
順番は、養護教諭本人が実施しやすい順番で構いません。<br>
よく用いられる順番として、以下のものがあります。<br>
よく用いられる順番としては、以下のものがあります。<br>
①部位別アセスメントの1例)上肢→頭頸部・顔部→胸部・背部→腹部→下肢→筋・骨格系→神経系<br>
 ・部位別アセスメントの一例)上肢→頭頸部・顔部→胸部・背部→腹部→下肢→筋・骨格系→神経系<br>
②器官別アセスメントの1例)外皮系→呼吸器系→循環器系→消化器系→泌尿器系→脳神経系→筋・骨格系<br><br>
 ・器官別アセスメントの一例)外皮系→呼吸器系→循環器系→消化器系→泌尿器系→脳神経系→筋・骨格系<br><br>
 
小学生、特に低学年の子どもは、自分の身に起きたことを言語化して説明することが難しいとされています。<br>
また、表現力の不足から誤ったことを訴えたり、気持ちが動転し泣いていたりと、状況の把握に時間を要することがあります。<br>
その他、加害者側からの口封じにより原因を隠すことは、中学生や高校生にも見られます。<br>
そのため、問診による情報のみで判断せずに、視診・触診・打診・聴診などを用いて、客観的情報を系統的に(頭から爪先まで)収集することが重要です。<br><br>
 
傷病者対応時のヒヤリ・ハットとして以下がよく挙げられます。<br>
 ①単純に、質問されなかったから答えなかった。<br>
 ②加害者がいて口止めされていたり、報復を恐れて話さなかった。<br>
 ③当日のことではないので、本人も(受傷したことなどを)忘れていた。<br>
これらを防ぐためには、問診による情報のみで判断せずに、視診・触診・打診・聴診などを用いて、客観的情報を系統的に(頭から爪先まで)収集することが重要です。<br><br>


'''【フィジカルアセスメントの手技の順番】'''<br>
'''【フィジカルアセスメントの手技の順番】'''<br>
心身への侵襲の少ないものから行っていきます。<br>
心身への侵襲の少ないものから行っていきます。<br>
養護教諭がフィジカルアセスメントを行う場合は、問診・視診・打診・触診・聴診を単独に行うのではなく、併行的に行うことが重要です。<br>
まず、子どもたちの表情や行動、全身の身体的状態などを観察しながら問診します。<br>
また、触診しながら問診・視診を同時に行うというように、養護教諭の全神経を子どもに向けて、子どもからの情報を得ることが必要となります。<br>


[[ファイル:-概要-フィジカルアセスメントの流れ.jpg|300px|left]] <br><br>
[[ファイル:-概要-フィジカルアセスメントの順番.jpg|300px|left]]  
 
'''!注意!'''<br>
腹部のフィジカルアセスメントだけは、順番が異なります。<br>
問診→視診→聴診→打診→触診<br>
これは、触診や打診によって腸蠕動音に影響が出ることや、先に触診を行うことで痛みによりその後の手技が行えなくなってしまうことを避けるため、聴診を先に行う必要があるためです。<br><br>
 
'''【アセスメント時のポイント】'''<br>
・問題はないと最初から決めてしまうのではなく、以上の可能性を考えながら行う。<br>
・正常な状態と比べたり、左右を比較しながら行う。<br>
・痛みの閾値には個人差があり、訴えの程度が大げさに思える場合があったり、子どもによっては甘える傾向にあったり、怪我の経験の違いから、訴えの程度と痛みの程度がことなるのは仕方がないことです。また、子どもは、強い痛みや普段と違う見え方をしていなければ、「大丈夫です」と言いがちです。<br>
・問診時:受傷したときの状況を、順序立てて話せるように言葉を補う。<br>
例)「それから?」「次にどうなったの?」「その時手(足)はどこにあった?」<br>
気が動転していて上手く話せないときは、まずは落ち着かせる。<br>
なかなか本題に入らないときは、平静を保って待つ。<br><br>
 
'''★受傷機転'''<br>
重要な情報を逃さないためには、受傷機転を明らかにすることから始まります。<br>


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{{QuizTitle}}
'''!!注意!!'''<br>
<GIFT>
腹部のフィジカルアセスメントだけは、順番が異なります。<br>
 
問診→視診→<font color="red">聴診</font>→打診→触診<br>
//RAND
打診や触診によって腸蠕動音に影響が出ることや、先に触診を行うことで痛みによりその後の手技が行えなくなってしまうことを避けるため、聴診を先に行う必要があります。
頭蓋の視診・触診では、{=外傷~フケ~色~=圧痛}について確認する。
 
//RAND
頭皮の色が、透明に近い白色の場合、正常範囲である。{=○~✕}
 
//RAND
頭髪の脱毛数が、100本/日の場合、正常範囲である。{○~=✕}
 
</GIFT>

2019年11月10日 (日) 18:19時点における最新版

養護教諭は、学校における救急処置として、医療機関へ送るまでの緊急・応急的な処置と医療の対象とはならない軽微な傷病に対する処置を行っており、「病院受診が必要な状態であるかどうか」「緊急性があるかどうか」を判断する必要があります。
それらの判断のためには、問診の他、視診・打診・触診・聴診などを用いて客観的な情報を収集することが必要です。

・症状があるとき
訴える症状から起こり得る病態や疾患のうち、緊急度の高いものを想起します。
例え頻度が高くなくても、見逃してはいけないものからアセスメントするようにしましょう。
この場合は、頭から爪先まで、全ての項目をアセスメントするのではなく、緊急度の判断に必要な項目に限定し、かつ優先順位の高い項目からアセスメントします。
アセスメントの結果、緊急度が高くないと判断した場合には、以下、「症状がないとき」と同様にアセスメントをしていきます。

・症状がないとき
原則的には頭から爪先までアセスメントします。
順番は、養護教諭本人が実施しやすい順番で構いません。
よく用いられる順番としては、以下のものがあります。
 ・部位別アセスメントの一例)上肢→頭頸部・顔部→胸部・背部→腹部→下肢→筋・骨格系→神経系
 ・器官別アセスメントの一例)外皮系→呼吸器系→循環器系→消化器系→泌尿器系→脳神経系→筋・骨格系

【フィジカルアセスメントの手技の順番】
心身への侵襲の少ないものから行っていきます。
養護教諭がフィジカルアセスメントを行う場合は、問診・視診・打診・触診・聴診を単独に行うのではなく、併行的に行うことが重要です。
まず、子どもたちの表情や行動、全身の身体的状態などを観察しながら問診します。
また、触診しながら問診・視診を同時に行うというように、養護教諭の全神経を子どもに向けて、子どもからの情報を得ることが必要となります。

図-概要-フィジカルアセスメントの順番.jpg



!!注意!!
腹部のフィジカルアセスメントだけは、順番が異なります。
問診→視診→聴診→打診→触診
打診や触診によって腸蠕動音に影響が出ることや、先に触診を行うことで痛みによりその後の手技が行えなくなってしまうことを避けるため、聴診を先に行う必要があります。