「電解質と体液/腎臓と肺、それぞれの機能低下と機能亢進/データの読み方/第2歩/データの読み方/第2歩(中級編)/呼吸性アルカローシス」の版間の差分

提供:一歩一歩
ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
23行目: 23行目:
<table border="1"><tr><th>pHの変動</th><th>H<sup>+</sup>の変動</th><th>HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の変動</th><th>最初に起った変化</th><th>重炭酸緩衝系の動き</th><th>診断される病態</th></tr><tr><td>増大</td><td>減少</td><td>減少</td><td>CO<sub>2</sub>の減少</td><td>H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> → H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub></td><td>呼吸性アルカローシス</td></tr></table>
<table border="1"><tr><th>pHの変動</th><th>H<sup>+</sup>の変動</th><th>HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の変動</th><th>最初に起った変化</th><th>重炭酸緩衝系の動き</th><th>診断される病態</th></tr><tr><td>増大</td><td>減少</td><td>減少</td><td>CO<sub>2</sub>の減少</td><td>H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> → H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub></td><td>呼吸性アルカローシス</td></tr></table>


 
<p class="page-break" style="padding: 0px;"></p>
{{QuizTitle}}
{{QuizTitle}}
<GIFT>
<GIFT>

2016年6月14日 (火) 23:22時点における版

POINT!

動画と音声での説明

Respiratory-alkalosis-no-compensation.jpg

最初の病態として、肺機能が増加した場合を考えてみましょう。

二酸化炭素の排出が増大して、血中の二酸化炭素(CO2)が低下します。

重炭酸緩衝系のバランスが乱されたので、「最初に起こったことを打ち消す方向」、つまりこの場合は右方向に反応が進みます。これにより二酸化炭素(CO2)が生成されるからです。右向き反応で消費されるため水素イオン (H+)が減少し重炭酸イオン(HCO3-)も減少します。

「最初に起こったことが完全に打ち消されるわけではない」のですから、二酸化炭素(CO2)が4低下すると、重炭酸緩衝系の作用により生成される二酸化炭素(CO2)は、それよりも少ないので、2としましょう。水素イオン (H+)も重炭酸イオン(HCO3-)も2消費され減少します。

最初の変化と重炭酸緩衝系の作用までをまとめると、このような新たな平衡が成り立ちます。

pHを横軸、重炭酸イオン(HCO3-)を縦軸とするグラフにおいて、水素イオン(H+)が減少することはpHが上昇するので右方移動となります。重炭酸イオン(HCO3-)が減少することは下方移動となり、この状態はこのようにプロットされます。

たとえば、pH, 7.5 ; HCO3-, 22 mEq/L ; CO2, 27 mm Hgの血液検査データでは、正常値よりも水素イオン濃度が減少し、重炭酸イオンは減少しています。これは、血漿における重炭酸緩衝系の化学平衡式H+ + HCO3-←→ H2O + CO2において、左端にあるH+とHCO3-とが同じ方向に変動しており、血漿に最初に起こった変化はH+やHCO3-の変動であると思われません。血漿に最初に起こった変化はCO2の減少と考えると説明がつきます。これは、肺機能 亢進によってもたらされたと思われます。さらに、重炭酸緩衝系はH+ + HCO3- → H2O + CO2の方向に化学変化が生じたと考えられます。pHの変動は呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)とよばれます。

02693.jpg
pHの変動H+の変動HCO3-の変動最初に起った変化重炭酸緩衝系の動き診断される病態
増大減少減少CO2の減少H+ + HCO3- → H2O + CO2呼吸性アルカローシス

Challenge Quiz

1.

H+ + HCO3- ←→ H2O + CO2 において、過換気(肺の機能亢進)そのものにより(重炭酸緩衝系の作用なしに)最初に起こる変化は  呼吸性アシドーシス(による酸血症) 代謝性アシドーシス(による酸血症) 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症) 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症) 高CO2血症 低CO2血症 である。重炭酸緩衝系はこの変化に対して、 H+ + HCO3- ← H2O + CO2 H+ + HCO3- → H2O + CO2 方向に反応が進行する。これにより、HCO3-は   増大 減少 する。

2.

動脈血のpH, 7.50 ; HCO3-, 22 mEq/L ; CO2, 27 mm Hgの血液検査データでは、正常値よりも水素イオン濃度が  増大 減少 し、重炭酸イオンは  増大 減少 している。これは、血漿における重炭酸緩衝系の化学平衡式H+ + HCO3- ←→ H2O + CO2において、左端にあるH+とHCO3-とが  同じ 異なる 方向に変動しており、血漿に最初に起こった変化はH+の変動であると  思われる 思われない 。血漿に最初に起こった変化は  H+ CO2 の  増大 減少 と考えると説明がつく。これは、 腎臓 の機能  亢進 不全 によってもたらされたと思われる。さらに、重炭酸緩衝系は H+ + HCO3- ← H2O + CO2 H+ + HCO3- → H2O + CO2 の方向に化学変化が生じたと考えられる。pHの変動は  代謝性 呼吸性   アシドーシス(による酸血症) アルカローシス(によるアルカリ血症) とよばれる。