「電解質と体液/腎臓と肺、それぞれの機能低下と機能亢進/データの読み方/第2歩/データの読み方/第2歩(中級編)/代謝性アルカローシス」の版間の差分

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{{Point|H<sup>+</sup>の減少とHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の増大とは代謝性アルカローシスを示唆する。}}
{{Point|H<sup>+</sup>の減少とHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の増大とは代謝性アルカローシスを示唆する。}}


腎臓の機能亢進のため、H<sup>+</sup>が減少し、重炭酸緩衝系は、「変化を<strong><u>打ち消す</u></strong>方向」、すなわち、


<table border="1"><tr><th>pHの変動</th><th>H<sup>+</sup>の変動</th><th>HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の変動</th><th>最初に起った変化</th><th>重炭酸緩衝系の動き</th><th>診断される病態</th></tr><tr><td>増大</td><td>減少</td><td>増大</td><td>H<sup>+</sup>の減少</td><td>H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub></td><td>代謝性アルカローシス</td></tr></table>
H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> &larr; H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> &larr; H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub>


方向に反応が進みます。これにより、H<sup>+</sup>、HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の両方とも増大します。このような低H<sup>+</sup>血症が代謝性アルカローシスであり、HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>は増大しているのです。


<table border="1"><tr align="center"><td>発症前</td><td>H<sup>+</sup></td><td>+</td><td>HCO<sub>3</sub><sup>-</sup></td><td style="width: 30px">←→</td><td>H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub></td><td style="width: 30px">←→</td><td>H<sub>2</sub>O</td><td>+</td><td>CO<sub>2</sub></td></tr><tr align="center"><td align="left">原疾患(腎臓の機能亢進)により最初に起こる変化</td><td>↓↓↓↓</td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td></tr><tr align="center"><td align="left">重炭酸緩衝系の作用</td><td>↑↑</td><td> </td><td>↑↑</td><td>←</td><td>&nbsp;</td><td>← </td><td> </td><td> </td><td>↓↓ </td></tr><tr align="center"><td align="center"><<ここまでの総和>></td><td>↓↓</td><td> </td><td>↑↑</td><td>←→</td><td>&nbsp;</td><td>←→</td><td>&nbsp;</td><td> </td><td>↓↓</td></tr></table>
<table border="1"><tr align="center"><td>発症前</td><td>H<sup>+</sup></td><td>+</td><td>HCO<sub>3</sub><sup>-</sup></td><td style="width: 30px">←→</td><td>H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub></td><td style="width: 30px">←→</td><td>H<sub>2</sub>O</td><td>+</td><td>CO<sub>2</sub></td></tr><tr align="center"><td align="left">原疾患(腎臓の機能亢進)により最初に起こる変化</td><td>↓↓↓↓</td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td><td> </td></tr><tr align="center"><td align="left">重炭酸緩衝系の作用</td><td>↑↑</td><td> </td><td>↑↑</td><td>←</td><td>&nbsp;</td><td>← </td><td> </td><td> </td><td>↓↓ </td></tr><tr align="center"><td align="center"><<ここまでの総和>></td><td>↓↓</td><td> </td><td>↑↑</td><td>←→</td><td>&nbsp;</td><td>←→</td><td>&nbsp;</td><td> </td><td>↓↓</td></tr></table>
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<table border="1"><tr><th>pHの変動</th><th>H<sup>+</sup>の変動</th><th>HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の変動</th><th>最初に起った変化</th><th>重炭酸緩衝系の動き</th><th>診断される病態</th></tr><tr><td>増大</td><td>減少</td><td>増大</td><td>H<sup>+</sup>の減少</td><td>H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> ← H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> ← H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub></td><td>代謝性アルカローシス</td></tr></table>


{{QuizTitle}}
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<GIFT>
<GIFT>
::チャレンジクイズ::
//LEVEL:3
//RAND
H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> &larr;&rarr; H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> &larr;&rarr; H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub> において.アルドステロン症(腎臓の機能亢進)そのものにより(重炭酸緩衝系の作用なしに)最初に起こる変化は {~呼吸性アシドーシス(による酸血症)~代謝性アシドーシス(による酸血症)~呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症)~=代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)~高CO<sub>2</sub>血症~低CO<sub>2</sub>血症} である.重炭酸緩衝系はこの変化に対して、{=H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> &larr; H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> &larr; H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub>~H<sup>+</sup> + HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> &rarr; H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> &rarr; H<sub>2</sub>O + CO<sub>2</sub>}方向に反応が進行する。これにより.HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>は  {=増大~減少}する.


//LEVEL:3  
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2015年7月6日 (月) 14:20時点における版

POINT!

腎臓の機能亢進のため、H+が減少し、重炭酸緩衝系は、「変化を打ち消す方向」、すなわち、

H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2

方向に反応が進みます。これにより、H+、HCO3-の両方とも増大します。このような低H+血症が代謝性アルカローシスであり、HCO3-は増大しているのです。

発症前H++HCO3-←→H2CO3←→H2O+CO2
原疾患(腎臓の機能亢進)により最初に起こる変化↓↓↓↓        
重炭酸緩衝系の作用↑↑ ↑↑ ←   ↓↓ 
<<ここまでの総和>>↓↓ ↑↑←→ ←→  ↓↓


たとえば、pH, 7.48 ; HCO3-, 32.3 mEq/L ; CO2, 46 mm Hgの血液検査データでは、正常値よりも水素イオン濃度が減少し、重炭酸イオンは増大しています。これは、血しょうにおける重炭酸緩衝系の化学平衡式H+ + HCO3-←→ H2CO3 ←→ H2O + CO2において、最左端にあるH+とHCO3-とが逆の方向に変動しており、血しょうに最初に起こった変化はH+の減少と考えると説明がつきます。(HCO3-が増大する病態はあまり知られていない)。これは、腎臓機能亢進によってもたらされたと思われます。さらに、重炭酸緩衝系はH+ + HCO3-← H2CO3 ← H2O + CO2の方向に化学変化が生じたと考えられます。pHの変動は代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症)とよばれます。


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pHの変動H+の変動HCO3-の変動最初に起った変化重炭酸緩衝系の動き診断される病態
増大減少増大H+の減少H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2代謝性アルカローシス

Challenge Quiz

1.

H+ + HCO3- ←→ H2CO3 ←→ H2O + CO2 において.アルドステロン症(腎臓の機能亢進)そのものにより(重炭酸緩衝系の作用なしに)最初に起こる変化は  呼吸性アシドーシス(による酸血症) 代謝性アシドーシス(による酸血症) 呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症) 代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症) 高CO2血症 低CO2血症 である.重炭酸緩衝系はこの変化に対して、 H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2 H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2 方向に反応が進行する。これにより.HCO3-は   増大 減少 する.

2.

動脈血のpH.7.48、HCO3-.32.3 mEq/L、CO2.46 mm Hgの血液検査データでは、正常値よりも水素イオン濃度が  増大 減少 し、重炭酸イオンは  増大 減少 している。これは、血漿における重炭酸緩衝系の化学平衡式H+ + HCO3- ←→ H2CO3 ←→ H2O + CO2において、最左端にあるH+とHCO3-とが  同じ 異なる 方向に変動しており、血漿に最初に起こった変化はH+の変動であると  思われる 思われない 。血漿に最初に起こった変化は  H+ CO2 の  増大 減少 と考えると説明がつく。これは、 呼吸(換気) 腎臓 の機能  亢進 不全 によってもたらされたと思われる。さらに、重炭酸緩衝系は  H+ + HCO3- ← H2CO3 ← H2O + CO2 H+ + HCO3- → H2CO3 → H2O + CO2 の方向に化学変化が生じたと考えられる。pHの変動は  代謝性 呼吸性   アシドーシス(による酸血症) アルカローシス(によるアルカリ血症) とよばれる。