「電解質と体液/肺、腎による酸性物質の排出と血漿緩衝系のはたらき/重炭酸緩衝系の作用」の版間の差分

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[[Category:電解質と体液|デンカイシツトタイエキ]]
{{Point|重炭酸緩衝系には1.水素イオン濃度(pH)とCO<sub>2</sub>濃度の迅速な調節作用と、2.腎臓と肺の負荷分担作用とがある。}}
{{Point|重炭酸緩衝系の作用<br>1.水素イオン濃度(pH)とCO<sub>2</sub>濃度の迅速な調節作用<br>2.腎臓と肺の負荷分担作用}}
[[メディア:BicarbonateBufferMetAcidosis-Jpn.mp4|動画と音声での説明]]<br>    
 
[[ファイル:04416.jpg|left|340px]]激しい運動により筋肉細胞から乳酸(H<sup>+</sup>)が急激に血中へ放出された(左図:筋細胞内の酸(H<sup>+</sup>)<strong><font color="#ff0000"><b>↑</b></font></strong>。血中への移動の矢印が太くなった)とします。これは、血漿のH<sup>+</sup>濃度を増大します(pHを低下させる)。血中乳酸濃度は、激しい運動により1&rarr;5 mEq/Lなどと上昇し得ます。これは、pHを約0.4低下させ得ます。pHが7.4から7.0へ低下することは、致死的です。酸(H<sup>+</sup>)の排泄は、腎臓の仕事ですが、時間がかかってしまい、その間、pHは低下したままです。<br style="clear:both;" />
筋肉から急激に乳酸が放出された場合を例に、ふたつの作用を考えてみよう!     
[[ファイル:BB-hypermetabolism.jpg|left|340px]]しかし重炭酸緩衝系は、H<sup>+</sup>が増大すると、 H<sup>+</sup> &rarr; CO<sub>2</sub> の方向に化学反応が進行します(左図)。これは、放出されたH<sup>+</sup>を迅速にCO<sub>2</sub>に変換します。<br style="clear:both;" />
[[ファイル:04416.jpg|alt=04416.jpg|left|400px]]
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激しい運動により筋肉細胞から乳酸(H<sup>+</sup>)が急激に血中へ放出された(左図)とします。これは、血漿のH<sup>+</sup>濃度を増大します(pHを低下させる)。血中乳酸濃度は、激しい運動により1&rarr;5 mEq/Lなどと上昇し得ます。これは、pHを約0.4低下させ得ます。pHが7.4から7.0へ低下することは、致死的です。酸(H<sup>+</sup>)の排泄は、腎臓の仕事ですが、時間がかかってしまい、その間、pHは低下したままです。                                    
[[ファイル:04417.jpg|left|340px]]重炭酸緩衝系の作用により、pHの低下を軽減させることができます(水素イオン濃度(pH)の迅速な調節作用)。また、これは、腎臓の負荷(H<sup>+</sup>の排出)の一部を、肺に分担させたことにもなります(負荷分担作用)。
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[[ファイル:04417.jpg|alt=04417.jpg|left|400px]]
しかし重炭酸緩衝系は、H<sup>+</sup>が増大すると、 H<sup>+</sup> &rarr; CO<sub>2</sub> の方向に化学反応が進行する(左図) わけですから、放出されたH<sup>+</sup>を迅速にCO<sub>2</sub>に変換し、pHの低下を軽減させることができます。       
 
&rArr;<strong>水素イオン濃度(pH)の迅速な調節作用だ!</strong>      
 
また、これは、腎臓の負荷(H<sup>+</sup>の排出)の一部を、肺に分担させたことにもなります。       
 
&rArr;<strong>負荷分担作用だ!</strong>
<br style="clear:both;" />
<br style="clear:both;" />
{{QuizTitle}}
{{QuizTitle}}
<GIFT>
<GIFT>
::チャレンジクイズ::
 
//LEVEL:2
//LEVEL:3
//RAND  
//RAND  
重炭酸緩衝系によるpH調節は、腎臓によるpH調節より {=速い.~遅い}。  
重炭酸緩衝系によるpH調節は、腎臓によるpH調節より {~=速い~遅い}。  
 
//LEVEL:2  
//LEVEL:2  
//RAND  
//RAND  
重炭酸緩衝系により、腎、肺は、負荷を分担できる。 {=正.~誤}  
重炭酸緩衝系により、腎、肺は、負荷を分担できる。 {~=正~誤}  
//LEVEL:4
 
//LEVEL:1
//RAND  
//RAND  
運動により、筋から乳酸が血中に放出された。血漿緩衝系がなければ、乳酸が遊離するH<sup>+</sup>は、pHを {~上昇.=低下}させてしまう。しかし、血漿緩衝系、特に、重炭酸緩衝系の重炭酸イオンは {~酸性.=アルカリ性}物質であり、H<sup>+</sup>と結合することで、運動時のH<sup>+</sup>の {=増大.~減少}を緩衝する。この際、重炭酸緩衝系は {~H<sup>+</sup>+HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> &larr; H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> &larr; H<sub>2</sub>O+CO<sub>2</sub>.=H<sup>+</sup>+HCO<sub>3</sub><sup>-</sup> &rarr; H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub> &rarr; H<sub>2</sub>O+CO<sub>2</sub>}の方向に作用し、重炭酸イオンは {=減少.~増大}し、CO<sub>2</sub>が {=生成.~分解}される。さらに、運動時、換気が {=亢進.~低下}することにより、重炭酸イオンの緩衝作用を {=助長.~阻害}する。
重炭酸緩衝系により、腎、肺は、負荷を分担できる。 {~=~}  
 
//LEVEL:3  
//LEVEL:3  
//RAND  
//RAND  
運動により、筋から乳酸が血中に放出された。血漿緩衝系がなければ、乳酸が遊離するH<sup>+</sup>は、pHを {~上昇.=低下}させてしまう。しかし、血漿緩衝系の一部である重炭酸緩衝系はH<sup>+</sup>をCO<sub>2</sub>に変換することで、運動時のH<sup>+</sup>の {=増大.~減少}を緩衝する。
運動により、筋から乳酸が血中に大量に放出された。血漿緩衝系がなければ、乳酸が遊離するH<sup>+</sup>は、pHを{~小さく~=大きく}低下させてしまう。しかし、血漿緩衝系の一部である重炭酸緩衝系はH<sup>+</sup>をCO<sub>2</sub>に変換することで、pHの低下を {~大きく~=小さく}する。
//LEVEL:3
 
//RAND
激しい運動中の乳酸の大量生成により、動脈血に最初に起こる変化は、 {=H<sup>+</sup>.~CO<sub>2</sub>}濃度の {=増大.~減少}である。
//LEVEL:4
//RAND
激しい運動により(重炭酸緩衝系の作用なしに)、動脈血に最初に起こる変化は、H<sup>+</sup>増大、すなわち {~呼吸性アシドーシス(による酸血症).=代謝性アシドーシス(による酸血症).~呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症).~代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症).~高CO<sub>2</sub>血症.~低CO<sub>2</sub>血症}である。
//LEVEL:4
//RAND
激しい運動により、{~呼吸性アシドーシス(による酸血症).=代謝性アシドーシス(による酸血症).~呼吸性アルカローシス(によるアルカリ血症).~代謝性アルカローシス(によるアルカリ血症).~高CO<sub>2</sub>血症.~低CO<sub>2</sub>血症}がもたらされる。
</GIFT>
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2024年3月26日 (火) 14:04時点における最新版

POINT!

動画と音声での説明

04416.jpg

激しい運動により筋肉細胞から乳酸(H+)が急激に血中へ放出された(左図:筋細胞内の酸(H+。血中への移動の矢印が太くなった)とします。これは、血漿のH+濃度を増大します(pHを低下させる)。血中乳酸濃度は、激しい運動により1→5 mEq/Lなどと上昇し得ます。これは、pHを約0.4低下させ得ます。pHが7.4から7.0へ低下することは、致死的です。酸(H+)の排泄は、腎臓の仕事ですが、時間がかかってしまい、その間、pHは低下したままです。

BB-hypermetabolism.jpg

しかし重炭酸緩衝系は、H+が増大すると、 H+ → CO2 の方向に化学反応が進行します(左図)。これは、放出されたH+を迅速にCO2に変換します。

04417.jpg

重炭酸緩衝系の作用により、pHの低下を軽減させることができます(水素イオン濃度(pH)の迅速な調節作用)。また、これは、腎臓の負荷(H+の排出)の一部を、肺に分担させたことにもなります(負荷分担作用)。


Challenge Quiz

1.

重炭酸緩衝系によるpH調節は、腎臓によるpH調節より  速い 遅い

2.

重炭酸緩衝系により、腎、肺は、負荷を分担できる。 

3.

重炭酸緩衝系により、腎、肺は、負荷を分担できる。 

4.

運動により、筋から乳酸が血中に大量に放出された。血漿緩衝系がなければ、乳酸が遊離するH+は、pHを 小さく 大きく 低下させてしまう。しかし、血漿緩衝系の一部である重炭酸緩衝系はH+をCO2に変換することで、pHの低下を  大きく 小さく する。