「概論/エネルギー代謝/主な病的代謝/ケトン体の蓄積(簡略版)」の版間の差分

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{{Point|細胞内のブドウ糖が不足すると、脂肪酸のβ-酸化がエネルギー代謝の中心となるが、アセチル-CoAがクエン酸(クレブス、TCA)回路で代謝されないため、ケトン体が蓄積する。}}
{{Point|細胞内のブドウ糖が不足すると、脂肪酸のβ-酸化がエネルギー代謝の中心となるが、アセチル-CoAがクエン酸(クレブス、TCA)回路で代謝されないため、ケトン体が蓄積する。}}
[[メディア:KetonSynthesis.mp4|動画と音声での説明]]<br>
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[[ファイル:GlucoseRole.jpg|left|550px]]グルコース(ブドウ糖)(から生成したピルビン酸)は、クエン酸回路の基質である(=ATPを生成する)アセチル-CoAを生成するだけではなく、クエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキザロ酢酸をも生成します。脂肪酸がβ酸化を受けると、二者のうちアセチル-CoAだけが生成されます。
[[ファイル:GlucoseRole.jpg|left|550px]]
グルコース(ブドウ糖)(から生成したピルビン酸)は、クエン酸回路の基質である(=水素、ATPを生成する)アセチル-CoAを生成するだけではなく、クエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキサロ酢酸をも生成します。<br>
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脂肪酸がβ酸化を受けると、二者のうちアセチル-CoAだけが生成します。
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[[ファイル:GlucoseRoleDec.jpg|left|550px]]
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最初の病態として細胞内のグルコース(ブドウ糖)が減少したとしましょう。
最初の病態として細胞内のグルコース(ブドウ糖)が減少したとしましょう。<br>
グルコース(ブドウ糖)からだけ生成するクエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキザロ酢酸は減少するので、クエン酸回路は低下し、クエン酸回路を経由したATPは生成されません。代わりのATPを生成するため、β酸化が亢進します。クエン酸回路の基質であるアセチル-CoAは、ブドウ糖(ピルビン酸)からは生成されませんが、脂肪酸からは生成されるので減少しません。しかしながら、(オキザロ酢酸がなく)クエン酸回路が低下しているので、別の代謝産物であるケトン体になります。
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グルコース(ブドウ糖)由来のアセチル-CoAが生成しなくなるため、グルコース(ブドウ糖)由来の水素、ATPは減少します。<br>
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クエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキサロ酢酸も減少します。
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この時、β酸化が亢進します。<br>
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グルコース(ブドウ糖)由来の水素、ATPは減少していますが、β酸化も水素、ATPを生成できるため、β酸化の亢進により水素、ATPの生成はほぼ元に戻ります。<br>
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同様に、グルコース(ブドウ糖)由来のアセチル-CoAは減少していますが、β酸化もアセチル-CoAを生成できるため、β酸化の亢進によりアセチル-CoAの生成はほぼ元に戻ります。<br>
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しかしながら、脂肪酸がβ酸化を受けても、クエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキサロ酢酸を生成することはできません。そのため、オキサロ酢酸は減少したままであり、クエン酸回路が促進されません。そして、アセチル-CoAはクエン酸(クレブス、TCA)回路に入ることができません。貯まってしまったアセチル-CoAは、別の代謝産物であるケトン体になります。<br>
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ケトン体は酸性物質ですので、pHが低下します。
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細胞内のブドウ糖が不足すると、 {~ブドウ糖~=脂肪酸}の代謝が主たるエネルギー代謝となる。  
細胞内のブドウ糖が不足すると、{~ブドウ糖~=脂肪酸}の代謝が主たるエネルギー代謝となる。  
 
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細胞内のブドウ糖が不足すると、{=解糖系~=クエン酸(クレブス、TCA)回路~&beta;-酸化}が低下する。
 
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細胞内のブドウ糖が不足すると、{=解糖系~=クエン酸(クレブス、TCA)回路~&beta;-酸化}が低下する。
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細胞内のブドウ糖が不足すると、{解糖系~クエン酸(クレブス、TCA)回路~=&beta;-酸化}が亢進する。
 
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細胞内のブドウ糖が不足すると、{解糖系~クエン酸(クレブス、TCA)回路~=&beta;-酸化}が亢進する。
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細胞内の糖が不足したために脂肪酸の代謝が亢進すると、{~乳酸~=ケトン体}が蓄積する。
 
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細胞内の糖が不足したために脂肪酸の代謝が亢進すると、{~乳酸~=ケトン体}が蓄積する。
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細胞内のブドウ糖が不足すると、{=解糖系~=クエン酸(クレブス、TCA)回路~&beta;-酸化}が低下する。
糖尿病では、{~ブドウ糖~=脂肪酸}の代謝が主たるエネルギー代謝となる。


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細胞内のブドウ糖が不足すると、{解糖系~クエン酸(クレブス、TCA)回路~=&beta;-酸化}が亢進する。
飢餓状態では、{~ブドウ糖~=脂肪酸}の代謝が主たるエネルギー代謝となる。


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細胞内の糖が不足したために脂肪酸の代謝が亢進すると、{~乳酸~=ケトン体}が蓄積する。
糖尿病では主に細胞内と血中の{~乳酸~=ケトン体}が{~減少~=増大}する。 そのため、{~アルカリ性~=酸性}に傾く。
 
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糖尿病では主に細胞内と血中の{~乳酸~=ケトン体}が{~減少~=増大}する。 そのため、{~アルカリ性~=酸性}に傾く。
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絶食状態では主に細胞内と血中の{~乳酸~=ケトン体}が{~減少~=増大}する。


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2024年3月21日 (木) 13:31時点における最新版

POINT!

動画と音声での説明

GlucoseRole.jpg

グルコース(ブドウ糖)(から生成したピルビン酸)は、クエン酸回路の基質である(=水素、ATPを生成する)アセチル-CoAを生成するだけではなく、クエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキサロ酢酸をも生成します。

脂肪酸がβ酸化を受けると、二者のうちアセチル-CoAだけが生成します。

GlucoseRoleDec.jpg

最初の病態として細胞内のグルコース(ブドウ糖)が減少したとしましょう。

グルコース(ブドウ糖)由来のアセチル-CoAが生成しなくなるため、グルコース(ブドウ糖)由来の水素、ATPは減少します。

クエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキサロ酢酸も減少します。

GlucoseRoleDecBetaInc.jpg

この時、β酸化が亢進します。

グルコース(ブドウ糖)由来の水素、ATPは減少していますが、β酸化も水素、ATPを生成できるため、β酸化の亢進により水素、ATPの生成はほぼ元に戻ります。

同様に、グルコース(ブドウ糖)由来のアセチル-CoAは減少していますが、β酸化もアセチル-CoAを生成できるため、β酸化の亢進によりアセチル-CoAの生成はほぼ元に戻ります。

しかしながら、脂肪酸がβ酸化を受けても、クエン酸回路の「ベルトコンベア」とも言える(=クエン酸回路を促進する)オキサロ酢酸を生成することはできません。そのため、オキサロ酢酸は減少したままであり、クエン酸回路が促進されません。そして、アセチル-CoAはクエン酸(クレブス、TCA)回路に入ることができません。貯まってしまったアセチル-CoAは、別の代謝産物であるケトン体になります。

ケトン体は酸性物質ですので、pHが低下します。

Challenge Quiz

1.

細胞内のブドウ糖が不足すると、 ブドウ糖 脂肪酸 の代謝が主たるエネルギー代謝となる。

2.

細胞内のブドウ糖が不足すると、 解糖系 クエン酸(クレブス、TCA)回路 β-酸化 が低下する。

3.

細胞内のブドウ糖が不足すると、 解糖系 クエン酸(クレブス、TCA)回路 β-酸化 が低下する。

/wiki/images/8/8d/GlucoseRoleDecBetaInc.jpg
4.

細胞内のブドウ糖が不足すると、 解糖系 クエン酸(クレブス、TCA)回路 β-酸化 が亢進する。

5.

細胞内のブドウ糖が不足すると、 解糖系 クエン酸(クレブス、TCA)回路 β-酸化 が亢進する。

/wiki/images/8/8d/GlucoseRoleDecBetaInc.jpg
6.

細胞内の糖が不足したために脂肪酸の代謝が亢進すると、 乳酸 ケトン体 が蓄積する。

7.

細胞内の糖が不足したために脂肪酸の代謝が亢進すると、 乳酸 ケトン体 が蓄積する。

/wiki/images/8/8d/GlucoseRoleDecBetaInc.jpg
8.

糖尿病では、 ブドウ糖 脂肪酸 の代謝が主たるエネルギー代謝となる。

9.

飢餓状態では、 ブドウ糖 脂肪酸 の代謝が主たるエネルギー代謝となる。

10.

糖尿病では主に細胞内と血中の 乳酸 ケトン体 減少 増大 する。 そのため、 アルカリ性 酸性 に傾く。

11.

糖尿病では主に細胞内と血中の 乳酸 ケトン体 減少 増大 する。 そのため、 アルカリ性 酸性 に傾く。

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12.

絶食状態では主に細胞内と血中の 乳酸 ケトン体 減少 増大 する。