「循環器系/心臓/心室の壁、筋/心電図/心電図:はじめの一歩/左室肥大」の版間の差分

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{{TitleSmall|左室肥大では、第I誘導のR波が高くなる。}}
[[Category:循環器系|ジュンカンキケイ]]
{{Point|正常な人より、左室肥大に陥った人の「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」は左方向への広がりが大きくなり、その結果、第I誘導におけるQRS波は、陽性の振れ、すなわちR波、が大きくなる。}}




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正常と比較しながら、左室肥大を検討してみましょう。




[[ファイル:all.jpg|心電図をきれいに見よう]]  [[ファイル:all.pdf|心電図を印刷しよう]]
<ul>
<li>[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/frnt.html 左室肥大の病態]とは、もともと厚かった左心室筋がさらに病的に肥大するわけです。


「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」が、心室筋活動の特徴をよく反映し、「心室筋が相対的に厚い部位」、電気的活動の多い方向を向くのですから...</li>
<li>[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/3d_2d_loop_forever.html 左室肥大に陥った患者さんの「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」]は、左方向への広がりが大きくなります。また、[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/030/table/i.html 第I誘導]の方向と極性は左方向が陽性で右方向が陰性であり、 [http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/3d_loop_ecg_1.html 「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」が第I誘導に投射されて第I誘導のQRS波は出現する]のですから...</li>
<li>[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/ecg_1.html 左室肥大に陥った患者さんの第I誘導のQRS波]は、陽性の振れが大きくなり、R波が高くなります。


ちなみに、左方向成分、すなわち、第I誘導ののR波の高さは1.1 mV(=10mm/1mVの標準的な感度では11 mm)が正常上限とみなされています。ついでに[[メディア:01263.gif|全誘導]]を見てみましょう。 </li>
</ul>


{{TitleSmall|所見}}


 
<table cellspacing="0" cellpadding="3" border="3">
<table border="0"><tr><td align="right" valign="top" style="width: 100px">P波: </td><td>高さ、幅が3mm以内であり、正常と思われる。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">PQ(R)間隔: </td><td>3mm-5mmの範囲内にあり、正常である。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">Q波: </td><td>aVR、第III誘導のみに「大きなQ波」はあるが、他にはなく、「有意のQ波」など明らかな異常所見はない。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">QRS波/心拍数: </td><td>毎分60拍くらい。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">QRS波/リズム: </td><td>規則的である。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">QRS波/形: </td><td>明らかなQRS波の形の異常所見はみとめられない。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">QRS波/幅: </td><td>QRS波の幅は正常上限の3mm以内であり、明らかな異常所見はない。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">QRS波/高さ: </td><td><font color="#0066cc"><u>第I誘導のR波の高さが11mmを超えていて、左室肥大が考えられる。</u></font> </td></tr><tr><td align="right" valign="top">QRS波/電気軸: </td><td>10度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。(第I誘導で+14/-1mm,aVF誘導で+2/-0mmと判断) </td></tr><tr><td align="right" valign="top">QRS波/移行帯: </td><td>V3誘導とV4誘導との間であり、正常である。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">ST部分: </td><td>明らかなST低下など、明らかな異常所見はない。</td></tr><tr><td align="right" valign="top">T波: </td><td>第I、第II誘導、V4-V6誘導で陽性であり、明らかな異常所見はない。</td></tr></table>
<tr>
<th align="center" rowspan="2">心臓の状態</th>
<th align="center" colspan="4">「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」の</th>
<th align="center" colspan="5" rowspan="2">実際の心電図</th>
</tr>
<tr>
<th align="center">もっとも広がる方向</th>
<th align="center" colspan="3">各誘導への投射<br>(*もっとも特徴的な誘導)</th>
</tr>
<tr>
<td align="center">[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/frnt.html 左室肥大]</td>
<td align="center">[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/3d_2d_loop_forever.html 左々下後]</td>
<td align="center" colspan="3">[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/3d_loop_ecg_1.html *第I]</td>
<td align="center" colspan="2">[http://physiol.umin.jp/cardiovasc/heart/ecg/1step/050/ecg_1.html 第I]</td>
<td align="center" colspan="2">[[メディア:01263.gif|全誘導]]</td>
</tr>
</table>




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<GIFT>
<GIFT>
::チャレンジクイズ::
::チャレンジクイズ::
//LEVEL:3
 
//LEVEL:2
//RAND  
//RAND  
下記の心電図では、P波は{=高さ、幅が3mm以内であり、正常と思われる。.~不規則であり、高さ、幅など測定不能。.~高さ、幅が3mmを超え、心房肥大が考えれる。}
この心電図でもっともあてはまりそうな診断は{~正常~=左室肥大}である。 
[[画像:00092.jpg|500px]]
[[画像:00092.jpg|550px]]
 
//LEVEL:3  
//LEVEL:3  
//RAND  
//RAND  
下記の心電図では、PQ(R)間隔は{~測定不能である。.~常に3mm以下で短縮している。.=3mm-5mmの範囲内にあり、正常である。.~5mm以内で正常範囲のところも、5mm以上で延長しているところもある。.~常に5mm以上で延長している。}
この心電図でもっともあてはまりそうな診断は{=正常~左室肥大}である。 
[[画像:00107.jpg|550px]]
 
//LEVEL:3  
//LEVEL:3  
//RAND  
//RAND  
下記の心電図はQ波に関して、{=aVR、第III誘導のみに「大きなQ波」はあるが、他にはなく、「有意のQ波」など明らかな異常所見はない。.~V1-V4に「大きなQ波」があり、.~「有意のQ波」と思われる。V1-V6誘導は前壁に対応する誘導であり、前壁梗塞が考えられる。.~II、III、aVF誘導に「大きなQ波」があり、.~「有意のQ波」と思われる。II、III、aVF誘導は下壁に対応する誘導であり、下壁梗塞が考えられる。.~I、aVL、V5、V6誘導に「大きなQ波」があり、.~「有意のQ波」と思われる。I、aVL、V6誘導は側壁に対応する誘導であり、.~側壁梗塞が考えられる。}
左室肥大では、「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」の左方向への広がりは、正常人と比べて、{=大きい~小さい}
//LEVEL:3
 
//RAND
下記の心電図は心拍数に関して、{~毎分45拍くらい。.~毎分50拍くらい。.=毎分60拍くらい。.~毎分70拍くらい。.~毎分85拍くらい。.~毎分100拍くらい。}
//LEVEL:3
//RAND
下記の心電図はQRS波のリズムに関して、{=規則的である。.~不規則的である。}
//LEVEL:3
//RAND
下記の心電図はQRS波の形に関して、{=明らかなQRS波の形の異常所見はみとめられない。.~V1、V2誘導でR波が2峰性であり、右脚ブロックが考えられる。.~V5、V6誘導でR波が2峰性であり、左脚ブロックが考えられる。.~「デルタ波」がみとめられ、WPW症候群が考えられる。}
//LEVEL:3
//RAND
下記の心電図はQRS波の幅に関して、{=QRS波の幅は正常上限の3mm以内であり、明らかな異常所見はない。.~QRS波の幅が3.~mmを超えていて、完全脚ブロック、および/または副伝導路が考えられる。}
//LEVEL:3
//RAND
下記の心電図はQRS波の高さに関して、{~第I誘導のR波の高さは正常上限の11mm以内であり、明らかな異常所見はない。.=第I誘導のR波の高さが11mmを超えていて、左室肥大が考えられる。}
//LEVEL:3
//RAND
下記の心電図は電気軸に関して、{~QRS波に形の異常などがあり、判定しにくい。.~-50度くらいであり、左軸偏位が考えられる。.~-45度くらいであり、左軸偏位が考えられる。.~-40度くらいであり、左軸偏位が考えられる。.~-30度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~-10度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~0度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.=10度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~30度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~40度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~45度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~50度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~60度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~80度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~90度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~100度くらいであり、明らかな軸偏位はみとめられない。.~120度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~130度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~135度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~140度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~150度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~170度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~180度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~190度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~210度くらいであり、右軸偏位が考えられる。.~225度くらいであり、右軸偏位が考えられる。}
//LEVEL:3
//RAND
下記の心電図は移行帯に関して、{~QRS波に形の異常などがあり、判定しにくい。.~V1付近であり、異常である。.~V1誘導とV2誘導との間であり、異常である。.~V2付近であり、正常である。.~V2誘導とV3誘導との間であり、正常である。.~V3付近であり、正常である。.=V3誘導とV4誘導との間であり、正常である。.~V4付近であり、正常である。.~V4誘導とV5誘導との間であり、正常である。.~V5付近であり、正常である。.~V5誘導とV6誘導との間であり、異常である。.~V6付近であり、異常である。}
//LEVEL:3
//RAND
下記の心電図はST部分に関して、{=明らかなST低下など、明らかな異常所見はない。.~ST低下がみとめられ、虚血が疑われる。}
//LEVEL:3  
//LEVEL:3  
//RAND  
//RAND  
下記の心電図はT波に関して、{~第I、第II誘導、V4-V6誘導に陰性T波があり、虚血が疑われる。.=第I、第II誘導、V4-V6誘導で陽性であり、明らかな異常所見はない。}
左室肥大では、第I誘導におけるQRS波の{=陽性~陰性}の揺れは正常人と比べて、{=大きい~小さい}
</GIFT>
</GIFT>

2014年11月18日 (火) 22:15時点における最新版

POINT!


正常と比較しながら、左室肥大を検討してみましょう。



心臓の状態 「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」の 実際の心電図
もっとも広がる方向 各誘導への投射
(*もっとも特徴的な誘導)
左室肥大 左々下後 *第I 第I 全誘導


Challenge Quiz

1.

この心電図でもっともあてはまりそうな診断は 正常 左室肥大 である。

/wiki/images/thumb/4/45/00092.jpg/550px-00092.jpg
2.

この心電図でもっともあてはまりそうな診断は 正常 左室肥大 である。

/wiki/images/thumb/e/e2/00107.jpg/550px-00107.jpg
3.

左室肥大では、「心室筋脱分極中の心臓ベクトルループ」の左方向への広がりは、正常人と比べて、 大きい 小さい

4.

左室肥大では、第I誘導におけるQRS波の 陽性 陰性 の揺れは正常人と比べて、 大きい 小さい